


抗ウィルス剤は瓶に入った薬が多く、そのために、飲んだかどうかを忘やすいと思われます。
PTPシートに入った薬は、飲んだあとのシートが残りますから、確認が容易です。
瓶に入った薬を飲むときは面倒でも、1回服用分を全部揃えてから飲むような習慣をつけることで飲み忘れを防ぐことが出来ます。
市販のピルケースに1日分をセットして、服用を習慣づけることも良い方法だと思います。


飲み忘れを防ぐことが抗ウィルス剤の治療を成功させるポイントです。
どのくらいまで飲み忘れが許されるのかについては、まだよくわかっていません。
100%の服薬を目指しましょう。
飲み忘れても後悔するだけでは、また同じ失敗を繰り返してしまいます。
どのようなタイミングに飲み忘れるかをよく覚えておいて、これを防ぐ方法を考えてみましょう。
たとえば、朝の服薬を忘れて外出してしまうことが多い場合は、必ず1回分を持ち歩くことで解決できます。
飲み忘れは「ついうっかり」が最も多いのですが、その原因を明らかにしていくことが、飲み忘れを防ぐ第一歩です。


カプセルを飲むとき、のどにひっかかって、うまく飲めない方がおられます。
あらかじめ口に水を含んでおいて、カプセルを口に含みます。
しばらくするとカプセルのまわりがぬるぬるとしてきますので、そこで一気に飲み込んで下さい。
のどにひっかからずに飲めると思います。
うまく飲み込めるようになったからといって、全部の薬を一度に飲むと、のどにつかえる可能性もあり危険ですから、ある程度分けて服用するよう心がけて下さい。


一般的に保存方法が守られて、有効期限を越えた薬の場合、期限を越えて急激に効力が低下することは考えられません。
従って、誤って服用した場合でも、薬の効果に大きな影響があるとは考えられませんが、有効期限の切れた薬は、誤って服用することのないよう、速やかに処分して下さい。


抗ウィルス剤の服用開始時期に見られる副作用には、服用を続けている間に次第に軽減するもののあることが知られています。
体の中で薬を分解する酵素が増えること等で、体が徐々に慣れてくるからとも考えられます。
しかし、いつかは慣れてくると思って放っておくと、副作用によっては、死に至る可能性のあるものもあります。
副作用は薬によって様々で、また、人によっても発現する度合いが違います。
注意を必要とする副作用やその対応については、医師または薬剤師にご相談下さい。


ウィルス量が検出限界以下になったということは、現在の検査方法で調べることの出来る最も少ないウィルス量を下回ったということであって、体の中から完全にウィルスがいなくなったと言うことではありません。
検出限界が50コピー/mlの場合、今回の検査結果が検出限界以下だった場合、実際は49コピー/mlかも、0コピー/mlかも知れません。
また、検出限界以下に下がったからといって、クスリを中止してはいけません。
抗HIV薬は体の中のウィルスの増殖を抑えるためのおクスリです。
ウィルスを殺して、体の中からなくしてしまう目的のクスリではありません。


そういう場合もあります。
ウィルスはクスリに対して耐性を獲得する可能性のあることが知られています。
また、あるプロテアーゼ阻害剤に耐性を獲得し効果がなくなった場合、次に使用するプロテアーゼ阻害剤の効果が弱くなる交差耐性といった問題も指摘されています。
ウィルスが耐性を獲得しないための最も効果的な方法は、絶えず体の中のウィルス量を検出限界以下に保つよう、定期的な服薬を続けることが大事だと言えるでしょう。


抗ウィルス剤は体の中のウィルスの増殖を抑えるためのクスリです。
直接ウィルスを攻撃して、ウィルスを殺してしまう効果を持つクスリではありません。
ウィルスの増殖を抑えるクスリです。
ですから、今のところは、糖尿病治療剤やてんかんを予防するクスリなどと同じように、クスリを飲み続けていく必要があります。


薬によっては、抗HIV薬と一緒に服用すると、抗HIV薬の効果が低下したり、上昇したりすることがあります。
抗HIV薬ではない薬の方も同様です。
他の病院でもらった薬があったり、街の薬局で買って飲んでいる薬や健康食品がある場合は、医師または薬剤師にご相談下さい。


食間のタイミングで、とかく忘れがちなのは、昼と夕の間、つまり15時頃ではないでしょうか。
仕事をしていると、ちょうど没頭している時間であったり、会議中であったりしてタイミングを計ることが難しいと思います。
お茶の出てくる時間があったり、何か服薬を意識できるきっかけになることがないか考えてみましょう。
アメリカではアラームやポケットベルを使った方法が推奨されています。
日本ではさしずめ携帯電話のアラーム機能を使うといったところでしょうか。


抗HIV薬の開発のスピードは非常に速いのが特徴です。
新薬を求める社会のニーズも大きいため、薬剤の効果が認められると、製剤学的な検討が十分行われないまま、薬剤の必要性から発売に踏み切っているものと思われます。
ですから、発売後に有効期限が延長されたり、飲みやすい剤形に改良されたりする場合があるのです。


抗HIV薬の開発・承認は日本国内での感染者の数が少なく治験が難しいこと、新薬の開発には莫大な費用がかかることから、通常の審査方法では時間がかかりすぎることが問題とされていました。
そこで、厚生労働省は平成10年11月に抗HIV薬の迅速審査を行うことを発表し、外国のデータをもとに審査し承認する方法がとられるようになりました。
最新の抗HIV薬が、日本で早く使えるようになったメリットはありますが、日本人でのデータがないため、その効果に関する情報や副作用情報等は少ないのが現状です。


抗HIV薬を服用している患者さんは、薬を飲むために生きておられるのではありません。
人が生きて行く中で12時間毎に薬を飲むことは難しいと思います。
服薬時間のずれの目安として、±約2時間までは問題ないと考えます。
服薬を考える時の方法として、一つの方法をお示ししましょう。
例えば基準となる時間を朝食後の8時と設定します。
夕食後の服薬時間が通常は20時なら全く問題ありませんが、残業があって服薬が22時になったとします。
この場合、基準の20時からはプラス2時間以内なので大丈夫と考えていいでしょう。
ある日友人と食事に出かけて早めに夕食を済ませ、18時に服薬したとします。
この場合も、基準の20時からはマイナス2時間以内なので大丈夫と考えていいでしょう。
ここで注意しなければいけないのは、夕食後の服薬時間がずれたからといって、朝食後の服薬時間をずらすことは避けましょう。
いつもどおり朝8時、決まった時間で服用を続けて下さい。
時間を少しずつずらしていくと、だんだんわけが分からなくなってしまいます。
服薬時間に対して必要以上に神経を使うことは、患者さんに大きな負担をを与えてしまい、長くつきあう服薬に、決していい影響を与えるものではありません。
長い間服薬を続けておられる患者さんに伺いますと、飲まなければいけない薬であることを感じないままに、何かに習慣づけて服薬を行うことがコツだとおっしゃいます。


あらかじめ出張先がわかっているときは、現地との時差を調べて、日本にいるときから服薬時間をずらすなどの方法があります。
時間をずらす場合、多少のずれは仕方がないと思います。
日本での服薬時間に無理にあわせるスケジュールを考えるより、現地の生活リズムに合わせたスケジュールを考えることが服薬を継続させるコツです。
時間や時差を考えるためには、日本時間に合わせた時計を持っていくと便利です。
(実際のフライトスケジュールに沿った服薬例を次に示しています。)
海外旅行に出かけるとき、適当に薬をつめて、途中で足りなくなったケースを耳にします。
短期間の旅行でも、薬は数量を確認して、少し多めに持って出かけることをおすすめします。
海外ではバッグを紛失する等のトラブルも多いので、薬は2カ所に分けて入れておくと安心でしょう。











