ツルバダ配合錠の添付文書
- Q&A
- 添付文書
- 患者向医薬品ガイド(PDF)
- くすりのしおり
- 商品名:
- ツルバダ配合錠
- 一般名:
- テノホビル・エムトリシタビン(TDF+FTC)
- 略称 :
- TVD
添付文書の読み方
ここで提供している添付文書情報は、2019年1月現在の各医薬品の添付文書を基に作成したものです。書式等については、実際の添付文書と異なるところがあります。添付文書情報は随時更新されます。ご使用の際は、必ず最新の添付文書をご覧下さい。→ PMDA
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抗ウイルス化学療法剤
ツルバダ®配合錠
Truvada Combination Tab
(エムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩配合錠)
2019年1月改訂(第11版)
2017年11月改訂
日本標準商品分類番号:87625
劇薬、処方せん医薬品注1)
貯法等:乾燥剤を同封した気密容器,室温保存
開栓後は湿気を避けて保存すること
使用期限:3年(外箱及びラベルに表示の使用期限を参照のこと)
注1)注意-医師等の処方せんにより使用すること
| 承認番号 | 22000AMX02432000 |
|---|---|
| 薬価収載 | 2009年9月 |
| 販売開始注2) | 2009年9月 |
| 国際誕生 | 2004年8月 |
| 再審査結果 | 2016年9月 |
注2)ツルバダ錠として2005年4月販売開始
【警告】
B型慢性肝炎を合併している患者では,本剤の投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので,本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性の場合,重症化するおそれがあるので注意すること。
【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
【組成・性状】
| 有効成分(1錠中) | エムトリシタビン200mg及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩300mg(テノホビル ジソプロキシルとして245mg) |
|---|---|
| 添加物 | クロスカルメロースNa,乳糖,ステアリン酸Mg,セルロース,部分アルファー化デンプン,青色2号,ヒプロメロース,酸化チタン,トリアセチン |
| 性状・剤形 | 青色のフィルムコーティング錠 |
| 外形 | 上面:![]() 下面: ![]() 側面:
|
| サイズ | 長径 約19.2mm,短径 約8.7mm,厚さ 約7.1mm |
| 識別コード | GILEAD-701 |
【効能・効果】
HIV-1感染症
【用法・用量】
通常,成人には1回1錠(エムトリシタビンとして200mg及びテノホビルジソプロキシルフマル酸塩として300mgを含有)を1日1回経口投与する。なお,投与に際しては必ず他の抗HIV薬と併用すること。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
- 本剤はエムトリシタビン及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩の固定用量を含有する配合剤であるので,エムトリシタビン又はテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩の個別の用法・用量の調節が必要な患者には,個別のエムトリシタビン製剤(エムトリバカプセル200mg)又はテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤(ビリアード錠300mg)を用いること。なお,エムトリシタビン製剤及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤の使用にあたっては,それぞれの製品添付文書を熟読すること。
- 本剤の成分を含む製剤と併用しないこと。また,テノホビル アラフェナミドフマル酸塩を含む製剤についても併用しないこと。
- 腎機能障害のある患者では,エムトリシタビン製剤及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤の薬物動態試験においてエムトリシタビンとテノホビルの血中濃度が上昇したとの報告があるので,腎機能の低下に応じて,次の投与方法を目安とする(外国人における薬物動態試験成績による)。
| クレアチニンクリアランス(CLcr) | 投与方法 |
|---|---|
| 50mL/min以上 | 本剤1錠を1日1回投与 |
| 30~49mL/min | 本剤1錠を2日間に1回投与 |
| 30mL/min未満又は血液透析患者 | 本剤は投与せず,エムトリシタビン製剤及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤により,個別に用法・用量の調節を行う |
【使用上の注意】
1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
腎機能障害のある患者[中等度及び重篤な腎機能障害のある患者では,エムトリシタビン及びテノホビルの血中濃度が上昇する(「用法・用量に関連する使用上の注意」,「重要な基本的注意」及び「薬物動態」の項参照)。]
2.重要な基本的注意
- (1)本剤の使用に際しては,患者又はそれに代わる適切な者に次の事項についてよく説明し同意を得た後,使用すること。
- 本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから,日和見感染症を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので,本剤投与開始後の身体状況の変化についてはすべて担当医に報告すること。ること。
- 本剤の長期投与による影響については現在のところ不明であること。
- 本剤による治療が,性的接触又は血液汚染等による他者へのHIV感染の危険性を低下させるかどうかは証明されていないこと。
- 本剤を含む核酸系逆転写酵素阻害薬の単独投与又はこれらの併用療法により,重篤な乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)が,女性に多く報告されているので,乳酸アシドーシス又は肝細胞毒性が疑われる臨床症状又は検査値異常(アミノトランスフェラーゼの急激な上昇等)が認められた場合には,本剤の投与を一時中止すること。特に肝疾患の危険因子を有する患者においては注意すること。
- 本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で,免疫再構築炎症反応症候群が報告されている。投与開始後,免疫機能が回復し,症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス,サイトメガロウイルス,ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがある。また,免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症,多発性筋炎,ギラン・バレー症候群,ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので,これらの症状を評価し,必要時には適切な治療を考慮すること。
- 本剤投与前にクレアチニンクリアランス,尿糖及び尿蛋白の検査を実施すること。また,本剤投与後も定期的な検査等により患者の状態を注意深く観察し,腎機能障害のリスクを有する患者には血清リンの検査も実施すること。腎毒性を有する薬剤との併用は避けることが望ましい。
- テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む多剤併用療法を長期間行った患者において,骨粗鬆症が現れ,大腿骨頚部等の骨折を起こした症例が報告されている。長期投与時には定期的に骨密度検査を行う等骨密度減少に注意し,異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。なお,テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩の試験において,144週間の投与により腰椎と大腿骨頚部の骨密度の減少が見られている。骨密度の減少した患者の大部分は,投与開始後24〜48週目にかけて発現し,以降は144週目まで持続していた。
- 核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)3成分のみを用いる一部の治療は,NRTI2成分に非核酸系逆転写酵素阻害薬又はHIV-1プロテアーゼ阻害薬を併用する併用療法と比べて,概して効果が低いことが報告されているので,本剤と他のNRTI1成分のみによる治療で効果が認められない場合には他の組み合わせを考慮すること。
- 本剤の有効成分であるエムトリシタビンの薬剤耐性を含むウイルス学的特性はラミブジンと類似しているので,本剤とラミブジンを含む製剤を併用しないこと。また,ラミブジン及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む抗HIV療法においてウイルス学的効果が得られず,HIV-1逆転写酵素遺伝子のM184V/I変異が認められた場合,ラミブジン及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を本剤に変更することのみで効果の改善は期待できない。
- アジア系人種におけるエムトリシタビン製剤の薬物動態は十分検討されていないが,少数例の健康成人及びB型慢性肝炎のアジア系人種において,Cmaxの上昇を示唆する成績が得られているので,HBV感染症合併患者を含め,副作用の発現に注意すること。
- 抗HIV薬の使用により,体脂肪の再分布/蓄積が現れることがあるので,異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
- エムトリシタビン製剤の臨床試験において皮膚変色が発現し,その発現頻度は有色人種で高いことが示唆されている。その原因は現在のところ不明である。
3.相互作用
併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| ジダノシン | ジダノシンによる有害事象を増強するおそれがあるので,ジダノシンの減量を考慮すること。 | テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とジダノシン製剤の併用により,ジダノシンのAUC及びCmaxが上昇する。 |
| アタザナビル硫酸塩 | アタザナビルの治療効果が減弱するおそれがあるので,本剤とアタザナビル硫酸塩を併用する場合には,本剤とアタザナビル300mgをリトナビル100mgとともに投与することが望ましい。また,本剤による有害事象を増強するおそれがある。 | テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とアタザナビル硫酸塩製剤の併用により,アタザナビルのAUCが25%,Cmaxが21%,Cminが40%低下し,テノホビルのAUCが24%,Cmaxが14%,Cminが22%上昇する。 |
| ロピナビル/リトナビル | 本剤による有害事象を増強するおそれがある。 | テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とロピナビル/リトナビル製剤の併用により,テノホビルのAUCが32%,Cminが51%上昇する。 |
| アシクロビル,バラシクロビル,ガンシクロビル,バルガンシクロビル等 | これらの薬剤又は本剤による有害事象を増強するおそれがある。 | 尿細管への能動輸送により排泄される薬剤と併用する場合,排泄経路の競合により排泄が遅延し,これらの薬剤,エムトリシタビン又はテノホビルの血中濃度が上昇するおそれがある。 |
| ダルナビル/リトナビル | 本剤による有害事象を増強するおそれがある(「薬物動態」の項参照)。 | テノホビルのAUC,Cmax及びCminが上昇する。 |
| レジパスビル/ソホスブビル |
4.副作用
- 使用成績調査:
- 使用成績調査において総症例2645例中785例(29.7%)に副作用が認められた。主な副作用は,脂質異常症,肝機能異常及び下痢等であった。主な臨床検査値異常は,血中トリグリセリド増加,Al-P増加等であった。(再審査終了時)
- 海外臨床試験:
- 外国における抗レトロウイルス薬による未治療患者を対象としたエムトリシタビン製剤とテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤の併用による比較試験において,257例中84例(32.7%)に副作用が認められた。主な副作用は,血中アミラーゼ増加,CK(CPK)増加,血中トリグリセリド増加等が多かった。(承認時)
(1)重大な副作用
- 1.腎不全又は重度の腎機能障害(0.3%)
- 腎機能不全,腎不全,急性腎障害,近位腎尿細管機能障害,ファンコニー症候群,急性腎尿細管壊死,腎性尿崩症又は腎炎等の重度の腎機能障害が現れることがあるので,定期的に検査を行う等,観察を十分に行い,臨床検査値に異常が認められた場合には,投与を中止する等,適切な処置を行うこと。特に腎機能障害の既往がある患者や腎毒性のある薬剤が投与されている患者では注意すること。
- 2.膵炎(0.1%)
- 膵炎が現れることがあるので,血中アミラーゼ,リパーゼ,血中トリグリセリド等の検査値の上昇がみられた場合には,投与を中止する等,適切な処置を行うこと。
- 3.乳酸アシドーシス(頻度不明)注3)
- 乳酸アシドーシスが現れることがあるので,このような場合には,投与を中止する等,適切な処置を行うこと。
(2)その他の副作用
下記の副作用が現れることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合は適切な処置を行うこと。
| 2%以上 | 2%未満 | 頻度不明注3) | |
|---|---|---|---|
| 代謝及び栄養障害 | 食欲不振,食欲亢進,食欲減退 | 高脂血症,後天性リポジストロフィー,体重減少,高コレステロール血症,高血糖,低リン酸血症,低カリウム血症,高尿酸血症,糖尿病 | |
| 精神障害 | うつ病,神経過敏,不安,リビドー減退,睡眠障害,感情不安定 | ||
| 神経系障害 | 頭痛(2.7%) | 浮動性めまい,不眠症,傾眠 | 錯感覚,異常な夢,ニューロパチー,末梢性ニューロパチー,前庭障害,思考異常,味覚異常,振戦 |
| 呼吸器,胸郭及び縦隔障害 | 気管支炎,鼻炎,呼吸困難,咽頭炎 | ||
| 胃腸障害 | 悪心(10.9%),下痢(7.0%) | 嘔吐,鼓腸,腹部膨満,口内乾燥,腹痛,上腹部痛 | 消化不良,便秘,胃炎,胃腸障害,口臭,アフタ性潰瘍,おくび |
| 肝胆道系障害 | 脂肪肝,肝炎,肝機能異常 | ||
| 皮膚及び皮下組織障害 | 皮膚色素過剰(2.3%) | 発疹 | そう痒症,皮膚変色,多汗症,皮膚乾燥,脱毛症,湿疹,ざ瘡,脂漏,帯状疱疹,単純ヘルペス,皮膚良性新生物 |
| 筋骨格系及び結合組織障害 | 筋肉痛,関節痛,骨障害,背部痛,側腹部痛,筋痙攣,骨軟化症,ミオパチー,骨粗鬆症 | ||
| 一般・全身障害及び投与部位の状態 | 疲労(3.1%) | 発熱,ほてり | 無力症,疼痛,倦怠感,悪寒,胸痛,末梢性浮腫 |
| 臨床検査注4) | 血中アミラーゼ増加(7.5%),CK(CPK)増加(7.1%),血中トリグリセリド増加(4.3%),AST(GOT)増加(2.8%),好中球数減少(2.8%),ALT(GPT)増加(2.0%),血尿(2.0%) | Al-P増加,血中ブドウ糖増加,尿糖 | リパーゼ増加,血中ビリルビン増加,血中リン減少,血小板数減少,蛋白尿,血中クレアチニン増加,γ-GTP増加 |
| その他 | 白血球減少症,血管拡張,感染,頻尿,インフルエンザ症候群,視覚異常,多尿,アレルギー反応,高血圧 |
注3)エムトリシタビン製剤又はテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤の臨床試験,市販後の調査及び自発報告等で報告された副作用を示した。
注4)エムトリシタビン製剤とテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤の併用による比較試験で発現したグレード3及び4(NIAID分類)の臨床検査値異常を示した。
5.高齢者への投与
本剤の高齢者における薬物動態は検討されていない。本剤の投与に際しては,患者の肝,腎及び心機能の低下,合併症,併用薬等を十分考慮すること。
6.妊婦,産婦,授乳婦等への投与
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立されていない。動物試験(サル)においてテノホビルの胎児への移行が報告されている1)。]
- 本剤服用中は授乳を中止させること。[エムトリシタビン及びテノホビルのヒト乳汁への移行が報告されており2),テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を用いた動物実験(ラット)において,テノホビルの乳汁中への移行が報告されている。また,女性のHIV感染症患者は,乳児のHIV感染を避けるため,乳児に母乳を与えないことが望ましい。]
7.小児等への投与
低出生体重児,新生児,乳児,幼児又は小児に対する安全性は確立していない(18歳未満の患者に対する使用経験がない)。
8.過量投与
過量投与時に特有の徴候や症状は不明である。過量投与時には,本剤の副作用(「副作用」の項参照)について十分に観察を行い,必要に応じ一般的な対症療法を行うこと。エムトリシタビン及びテノホビルは血液透析により一部除去される(「薬物動態」の項参照)。
9.その他の注意
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩のマウスを用いたがん原性試験(2年間)において,臨床用量におけるヒトの全身曝露量の16倍で雌に肝細胞腺腫が高頻度に発現したとの報告がある。
【薬物動態】
<日本人における成績>
1.吸収及び消失3)
日本人健康成人男性6例に本剤1錠を空腹時に経口投与した場合,エムトリシタビンの血漿中濃度は投与1.9±0.7時間後に最高値に達し,Cmax及びAUCはそれぞれ2,330±692ng/mL,10,845±1,241ng・hr/mLであった。エムトリシタビンの消失は二相性を示し,最終相の半減期は,12.0±2.1時間であり,投与48時間後までの累積尿中排泄率は79±6%であった。
また,テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩の活性成分であるテノホビルの血漿中濃度は投与1.1±0.5時間後に最高値に達し,Cmax及びAUCはそれぞれ233±62.4ng/mL,1,972±229ng・hr/mLであった。テノホビルの消失は二相性を示し,最終相の半減期は,16.4±1.3時間であり,投与48時間後までの累積尿中排泄率は21±3%であった。
<外国人における成績>
1.吸収
(1)生物学的同等性
健康成人志願者39例を対象として空腹時単回投与により検討した結果,本剤1錠と,エムトリシタビン製剤(200mg)1カプセル及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤(300mg)1錠の併用とは生物学的に同等であった。
(2)エムトリシタビン製剤又はテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤単独投与での薬物動態
- エムトリシタビン製剤
- エムトリシタビンの血漿中濃度は,エムトリシタビン製剤(200mg)単回経口投与後1〜2時間後にCmaxに達した。エムトリシタビン製剤(200mg)経口投与後のエムトリシタビンの血漿中半減期は約10時間であった(表1)。
- テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤
- テノホビルの血清中濃度は,テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤(300mg)経口投与後1.0±0.4時間後にCmaxに達した。テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤(300mg)単回経口投与後のテノホビルのβ相半減期は約17時間であった(表1)。
| エムトリシタビン | テノホビル | |
|---|---|---|
| 空腹時の生物学的利用率(%)注5) | 92(83.1-106.4) | 25(NC注6)-45.0) |
| β相半減期(hr)注5) | 10(7.4-18.0) 注7) | 17(12.0-25.7) |
| Cmax(μg/mL)注8) | 1.8±0.7注7) | 0.30±0.09 |
| AUC(μg・hr/mL)注8) | 10.0±3.1注7) | 2.29±0.69 |
| CL/F(mL/min)注8) | 302±94 | 1044±115 |
| CLrenal(mL/min) 注8) | 213±89 | 243±33 |
注5):中央値(範囲)
注6):算出不能
注7):定常状態での値
注8):平均値±標準偏差
2.食事の影響
本剤を高脂肪食(784kcal,約58%が脂肪由来)と共に服用した場合,テノホビルのTmaxは約0.75時間延長し,AUCは約35%,Cmaxは約16%上昇した。また,本剤を軽食(373kcal,約20%が脂肪由来)と共に服用したときも同様の変化(Tmaxが約0.75時間延長,AUCが約34%上昇,Cmaxが約14%上昇)が認められた。
また,本剤を高脂肪食又は軽食と共に服用した場合,エムトリシタビンのAUC及びCmaxは,影響を受けなかった。
3.分布
- エムトリシタビン
- ヒト血漿蛋白に対する結合率は,0.02〜200μg/mLの濃度範囲において濃度に依存せず4%未満であった。
- テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
- ヒト血漿蛋白に対する結合率は0.01〜25μg/mLの濃度範囲において濃度に依存せず0.7%未満であった。
4.代謝
- エムトリシタビン
- ヒト肝ミクロソームを用いた各種検討において,2%未満の代謝物が検出された。14C-エムトリシタビンを単回投与したところ,投与量の13%の代謝物がヒト尿中に検出された4)5)。
- テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
- 経口投与後,速やかにテノホビルに代謝され,その後,細胞内でテノホビル二リン酸に代謝された。in vitro 試験において,テノホビル ジソプロキシル及びテノホビルはいずれもチトクロームP450の基質ではないことが示された6)。
5.排泄
- エムトリシタビン
- 健康被験者にエムトリシタビン200mgを反復投与後14C-エムトリシタビンを単回投与したところ,投与量の86%は尿中に,14%は糞中に回収された5)。腎クリアランスが推定クレアチニンクリアランスを上回ったことから,糸球体ろ過と尿細管への能動輸送の両方による排泄が示唆された7)。
- テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
- HIV-1感染症患者にテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩300mg1日1回食後反復経口投与したところ,投与量の32%(テノホビル換算)が24時間以内に尿中に排泄され,テノホビルを静脈内投与した場合は,投与量の70〜80%が72時間までに,テノホビルとして尿中に排泄された8)。腎クリアランスは推定クレアチニンクリアランスを超えていると考えられたことから,糸球体ろ過と尿細管への能動輸送による腎排泄が示唆された9)。
6.腎不全患者
本剤による腎不全患者を対象とした臨床試験成績は得られていないため,エムトリシタビン製剤(200mg)又はテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤(300mg)の単独投与での成績を示す。クレアチニンクリアランス(CLcr)が50mL/min未満の患者あるいは透析を必要とする末期腎不全患者では,エムトリシタビンとテノホビルのCmaxとAUCがそれぞれ上昇した(表2,表3)。
なお,エムトリシタビン製剤(200mg)単回投与時には,投与1.5時間以内に開始した3時間の血液透析(血液流量400mL/min,透析液流量600mL/min)により投与量の約30%が除去された。また,テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤(300mg)単回投与時には4時間の血液透析(テノホビルの除去率は54%)により投与量の約10%が除去された。
| CLcr (mL/min) |
例数 | 投与前のCLcr 平均値(mL/min) |
Cmax (μg/mL) |
AUC (μg・hr/mL) |
CL/F (mL/min) |
CLrenal (mL/min) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| >80 | 6 | 107±21 | 2.2±0.6 | 11.8±2.9 | 302±94 | 213.3±89.0 |
| 50−80 | 6 | 59.8±6.5 | 3.8±0.9 | 19.9±1.1 | 168±10 | 121.4±39.0 |
| 30−49 | 6 | 40.9±5.1 | 3.2±0.6 | 25.1±5.7 | 138±28 | 68.6±32.1 |
| <30 | 5 | 22.9±5.3 | 2.8±0.7 | 33.7±2.1 | 99±6 | 29.5±11.4 |
| 透析を必要とする 末期腎不全患者 <30 |
5 | 8.8±1.4 | 2.8±0.5 | 53.2±9.9 | 64±12 | − |
平均値±標準偏差
算出不能:-
| CLcr (mL/min) |
例数 | Cmax (ng/mL) |
AUC (ng・hr/mL) |
CL/F (mL/min) |
CLrenal (mL/min) |
|---|---|---|---|---|---|
| >80 | 3 | 335.5±31.8 | 2,184.5±257.4 | 1,043.7±115.4 | 243.5±33.3 |
| 50−80 | 10 | 330.4±61.0 | 3,063.8±927.0 | 807.7±279.2 | 168.6±27.5 |
| 30−49 | 8 | 372.1±156.1 | 6,008.5±2,504.7 | 444.4±209.8 | 100.6±27.5 |
| <30(12−28)注9) | 11 | 601.6±185.3 | 15,984.7±7,223.0 | 177.0±97.1 | 43.0±31.2 |
平均値±標準偏差
注9)CLcrが10mL/min未満で,透析を行っていない患者における薬物動態は検討されていない。
7.薬物相互作用
本剤による薬物相互作用試験は実施されていないため,エムトリシタビン製剤又はテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤による成績を示す。
エムトリシタビン製剤及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤の併用投与と,両製剤の単独投与とを比較したところ,エムトリシタビン及びテノホビルの定常状態の薬物動態に変化は認められなかった。
(1)エムトリシタビン製剤の薬物相互作用
臨床使用量で血漿中に認められた濃度の14倍まで濃度を上昇させても,エムトリシタビンはヒトチトクロームP450分子種(CYP1A2,CYP2A6,CYP2B6,CYP2C9,CYP2C19,CYP2D6及びCYP3A4)によるin vitro 薬物代謝を阻害しなかった。エムトリシタビンはグルクロン酸抱合を担う酵素(ウリジン-5’-二リン酸グルクロニルトランスフェラーゼ)を阻害しなかった。これらのin vitro 実験結果及び確認されているエムトリシタビンの排泄経路を考慮すると,ヒトチトクロームP450を介するエムトリシタビンと他の薬剤との相互作用が生じる可能性は低い。健康成人志願者を対象にエムトリシタビンとテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩,インジナビル,サニルブジン及びジドブジンとの併用における薬物動態の評価を行った。併用薬がエムトリシタビンの薬物動態に及ぼす影響及びエムトリシタビンが併用薬の薬物動態に及ぼす影響について表4,5に示す。
| 併用薬 | 併用薬の用量 | エムトリシタビンの用量 | 例数 | 他剤併用時/非併用時のエムトリシタビンの薬物動態パラメータ変化率(%) (90%信頼区間) | ||
|---|---|---|---|---|---|---|
| Cmax | AUC | Cmin | ||||
| テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩 | 300mg 1日1回 7日間 |
200mg 1日1回 7日間 |
17 | ⇔ | ⇔ | ↑20 (↑12~↑29) |
| インジナビル | 800mg 1回 |
200mg 1回 |
12 | ⇔ | ⇔ | - |
| サニルブジン | 40mg 1回 |
200mg 1回 |
6 | ⇔ | ⇔ | - |
| ジドブジン | 300mg 1日2回 7日間 |
200mg 1日1回 7日間 |
27 | ⇔ | ⇔ | ⇔ |
上昇:↑,不変:⇔,算出不能:-
| 併用薬 | 併用薬の用量 | エムトリシタビンの用量 | 例数 | 他剤併用時/非併用時の併用薬の薬物動態パラメータ変化率(%) (90%信頼区間) | ||
|---|---|---|---|---|---|---|
| Cmax | AUC | Cmin | ||||
| テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩 | 300mg 1日1回 7日間 |
200mg 1日1回 7日間 |
17 | ⇔ | ⇔ | ⇔ |
| インジナビル | 800mg 1回 |
200mg 1回 |
12 | ⇔ | ⇔ | - |
| サニルブジン | 40mg 1回 |
200mg 1回 |
6 | ⇔ | ⇔ | - |
| ジドブジン | 300mg 1日2回 7日間 |
200mg 1日1回 7日間 |
27 | ↑17 (↑0~↑38) |
↑13 (↑5~↑20) |
⇔ |
上昇:↑,不変:⇔,算出不能:-
(2)テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤の薬物相互作用
In vivo において認められる濃度よりもはるかに高濃度(約300倍)において,テノホビルはヒトチトクロームP450分子種(CYP3A4,CYP2D6,CYP2C9又はCYP2E1)を阻害しなかったが,CYP1Aをわずかに(6%)阻害した。
テノホビルは,糸球体濾過と尿細管への能動輸送により腎排泄される。尿細管への能動輸送により排泄される薬剤と本剤を併用した場合,この排泄経路における競合によりテノホビル又は併用薬の血中濃度が上昇する可能性がある。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤と主な薬剤との併用による,薬物動態への影響を下表に示す(表6及び表7)。
また,表8にテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とジダノシンとの相互作用を示す。
| 併用薬 | 併用薬の用量 | 例数 | 他剤併用時/非併用時のテノホビルの薬物動態パラメータ変化率(%) (90%信頼区間) | ||
|---|---|---|---|---|---|
| Cmax | AUC | Cmin | |||
| アバカビル | 300mg 1回 |
8 | ⇔ | ⇔ | − |
| ラミブジン | 150mg 1日2回,7日間 |
15 | ⇔ | ⇔ | ⇔ |
| ジダノシン (腸溶剤) |
400mg 1回 |
25 | ⇔ | ⇔ | ⇔ |
| ジダノシン (制酸剤含有) |
250あるいは400mg注10) 1日1回,7日間 |
14 | ⇔ | ⇔ | ⇔ |
| インジナビル | 800mg 1日3回,7日間 |
13 | ↑14 (↓3〜↑33) |
⇔ | ⇔ |
| ロピナビル/リトナビル | 400/100mg 1日2回,14日間 |
24 | ⇔ | ↑32 (↑25〜↑38) |
↑51 (↑37〜↑66) |
| エファビレンツ | 600mg 1日1回,14日間 |
29 | ⇔ | ⇔ | ⇔ |
| アタザナビル | 400mg 1日1回,14日間 |
33 | ↑14 (↑8〜↑20) |
↑24 (↑21〜↑28) |
↑22 (↑15〜↑30) |
| アデホビルピボキシル | 10mg 1回 |
22 | ⇔ | ⇔ | − |
| エムトリシタビン | 200mg 1日1回,7日間 |
17 | ⇔ | ⇔ | ⇔ |
| ネルフィナビル | 1,250mg 1日2回,14日間 |
29 | ⇔ | ⇔ | ⇔ |
| サキナビル/リトナビル | 1,000/100mg 1日2回,14日間 |
35 | ⇔ | ⇔ | ↑23 (↑16〜↑30) |
| *ダルナビル/リトナビル | 300/100mg 1日2回 |
12 | ↑24 (↑8〜↑42) |
↑22 (↑10〜↑35) |
↑37 (↑19〜↑57) |
| レジパスビル/ソホスブビル注11) | 90/400mg 1日1回,10日間 |
24 | ↑47 (↑37〜↑58) |
↑35 (↑29〜↑42) |
↑47 (↑38〜↑57) |
| レジパスビル/ソホスブビル注12) | 90/400mg 1日1回,10日間 |
23 | ↑64 (↑54〜↑74) |
↑50 (↑42〜↑59) |
↑59 (↑49〜↑70) |
| レジパスビル/ソホスブビル注13) | 90/400mg 1日1回,14日間 |
15 | ↑79 (↑56〜↑104) |
↑98 (↑77〜↑123) |
↑163 (↑132〜↑197) |
| レジパスビル/ソホスブビル注14) | 90/400mg 1日1回,10日間 |
14 | ↑32 (↑25〜↑39) |
↑40 (↑31〜↑50) |
↑91 (↑74〜↑110) |
| *レジパスビル/ソホスブビル注15) | 90/400mg 1日1回,10日間 |
29 | ↑61 (↑51〜↑72) |
↑65 (↑59〜↑71) |
↑115 (↑105〜↑126) |
上昇:↑,低下:↓,不変:⇔,未算出:-
注10)体重60kg未満:250mg,60kg以上:400mg
注11)アタザナビル/リトナビル+エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を用いた薬物動態試験
注12)ダルナビル/リトナビル+エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を用いた薬物動態試験
注13)エファビレンツ/エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を用いた薬物動態試験
注14)エムトリシタビン/リルピビリン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を用いた薬物動態試験
注15)ドルテグラビル+エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を用いた薬物動態試験
| 併用薬 | 併用薬の用量 | 例数 | 他剤併用時/非併用時の併用薬の薬物動態パラメータ変化率(%) (90%信頼区間) | ||
|---|---|---|---|---|---|
| Cmax | AUC | Cmin | |||
| アバカビル | 300mg 1回 |
8 | ↑12 (↓1〜↑26) |
⇔ | − |
| ラミブジン | 150mg 1日2回,7日間 |
15 | ↓24 (↓34〜↓12) |
⇔ | ⇔ |
| 経口避妊薬 | エチニルエストラジオール/ノルゲスチメート 1日1回,7日間 |
20 | ⇔ | ⇔ | ⇔ |
| インジナビル | 800mg 1日3回,7日間 |
12 | ↓11 (↓30〜↑12) |
⇔ | ⇔ |
| ロピナビル/リトナビル | 400/100mg 1日2回,14日間 |
24 | ⇔ | ⇔ | ⇔ |
| エファビレンツ | 600mg 1日1回,14日間 |
30 | ⇔ | ⇔ | ⇔ |
| アタザナビル | 400mg 1日1回,14日間 |
34 | ↓21 (↓27〜↓14) |
↓25 (↓30〜↓19) |
↓40 (↓48〜↓32) |
| アタザナビル/リトナビル | 300/100mg 1日1回,42日間 |
10 | ↓28 (↓50〜↑5) |
↓25注16)
(↓42〜↓3) |
↓23注16)
(↓46〜↑10) |
| リバビリン | 600mg 1回 |
22 | ⇔ | ⇔ | − |
| アデホビルピボキシル | 10mg 1回 |
22 | ⇔ | ⇔ | − |
| エムトリシタビン | 200mg 1日1回,7日間 |
17 | ⇔ | ⇔ | ↑20 (↑12〜↑29) |
| ネルフィナビル | 1,250mg 1日2回,14日間 |
29 | ⇔ | ⇔ | ⇔ |
| M8代謝物 | 1,250mg 1日2回,14日間 |
29 | ⇔ | ⇔ | ⇔ |
| サキナビル | 1,000/100mg 1日2回,14日間 |
32 | ↑22 (↑6〜↑41) |
↑29 (↑12〜↑48) |
↑47 (↑23〜↑76) |
| リトナビル | 1,000/100mg 1日2回,14日間 |
32 | ⇔ | ⇔ | ↑23 (↑3〜↑46) |
| ダルナビル | 300/100mg 1日2回 |
12 | ↑16 (↓6〜↑42) |
↑21 (↓5〜↑54) |
↑24 (↓10〜↑69) |
上昇:↑,低下:↓,不変:⇔,算出不能:-
注16)HIV感染症患者において,テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤にアタザナビル300mg及びリトナビル100mgを併用した場合,アタザナビルのAUC及びCminは,アタザナビル400mgを単独投与した場合と比較してそれぞれ2.3倍及び4倍上昇した。
| ジダノシンの用量/ 投与方法注17) |
テノホビル製剤の投与方法注17 | 例数 | ジダノシン空腹時400mg投与時に対する 薬物動態パラメータの変化率(%) (90%信頼区間) |
||
|---|---|---|---|---|---|
| Cmax | AUC | ||||
| 制酸剤含有製剤400mg注18) 1日1回,7日間 | 空腹時 ジダノシン投与後 1時間 | 14 | ↑28 (↑11~↑48) | ↑44 (↑31~↑59) | |
| 腸溶剤 | 空腹時 400mg,1回 | 食後 ジダノシン投与後 2時間 | 26 | ↑48 (↑25~↑76) | ↑48 (↑31~↑67) |
| 食後 400mg,1回 | ジダノシンと同時投与 | 26 | ↑64 (↑41~↑89) | ↑60 (↑44~↑79) | |
| 空腹時 250mg,1回 | 食後 ジダノシン投与後 2時間 | 28 | ↓11 (↓22~↑3) | ⇔ | |
| 空腹時 250mg,1回 | ジダノシンと同時投与 | 28 | ⇔ | ↑14 (0~↑31) | |
| 食後 250mg,1回 | ジダノシンと同時投与 | 28 | ↓29 (↓39~↓18) | ↓11 (↓23~↑2) | |
上昇:↑,低下:↓,不変:⇔
注17) 食後投与の食事は軽食(約373kcal,20%が脂肪由来)
注18) 体重60kg以下の症例4例含む(ジダノシンは250mg投与)
【臨床成績】
<海外臨床試験における成績>
1.934試験:エファビレンツにエムトリシタビン製剤+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤又はジドブジン/ラミブジン配合剤を併用した比較試験10)
抗レトロウイルス薬による治療を未経験者の患者511例を対象とし,エファビレンツにエムトリシタビン製剤+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤又はジドブジン/ラミブジン配合剤を併用した多施設非盲検試験を実施した。
患者の平均年齢は38歳,86%が男性であり,59%が白人,23%が黒人であった。試験開始時の平均CD4リンパ球数は,245cells/mm3,血漿中HIV-1 RNA量の中央値は5.01 log10copies/mLであった。試験開始時のCD4リンパ球数が<200cells/mm3の患者は41%,血漿中HIV-1 RNA量が>100,000copies/mLの患者は51%であった。試験開始時にエファビレンツ抵抗性を有していなかった患者の試験開始後48週の結果を表9に示す。
| 結果 | エムトリシタビン製剤+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤投与群(244例) | ジドブジン/ラミブジン配合剤投与群(243例) |
|---|---|---|
| 有効例注14) | 84% | 73% |
| 無効例注15) | 2% | 4% |
| 再上昇例 | 1% | 3% |
| 無反応例 | 0% | 0% |
| 他剤変更例 | 1% | 1% |
| 死亡例 | <1% | 1% |
| 有害事象による中止例 | 4% | 9% |
| その他の理由による中止例注16) | 10% | 14% |
注19)血漿中HIV-1 RNA量が<400copies/mLに至り試験開始後48週まで維持していた症例
注20)血漿中HIV-1 RNA量が<400copies/mLに至らなかった症例及び至った後に再上昇した症例
注21)患者追跡不能例,患者申出による脱落例,服薬不良例,プロトコール不遵守例等
また,試験開始後48週の血漿中HIV-1 RNA量が<50copies/mLであった患者の比率は,エムトリシタビン製剤+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤投与群で80%,ジドブジン/ラミブジン配合剤投与群で70%であった。
さらに,試験開始後48週のCD4リンパ球数の平均増加量は,エムトリシタビン製剤+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤投与群で190cells/mm3,ジドブジン/ラミブジン配合剤投与群で158cells/mm3であった。試験開始後48週でCDC分類のカテゴリーCの事象を発現した症例は,エムトリシタビン製剤+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤投与群で7例,ジドブジン/ラミブジン配合剤投与群で5例であった。
【薬効薬理】
1.作用機序
- エムトリシタビン
- エムトリシタビンは,シチジンの合成ヌクレオシド誘導体であり,細胞内酵素によりリン酸化されエムトリシタビン5'-三リン酸となる11)。エムトリシタビン5'-三リン酸はHIV-1逆転写酵素の基質であるデオキシシチジン5'-三リン酸と競合すること,及び新生ウイルスDNAに取り込まれた後に,DNA鎖伸長を停止させることにより,HIV-1逆転写酵素の活性を阻害する。哺乳類のDNAポリメラーゼα,β,ε及びミトコンドリアDNAポリメラーゼγに対するエムトリシタビン5'-三リン酸の阻害作用は弱い12)。
- テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
- テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩は,アデノシン一リン酸の非環状ヌクレオシド・ホスホン酸ジエステル誘導体である。テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩からテノホビルへの変換には,ジエステルの加水分解が必要であり,その後細胞内酵素によりリン酸化を受け,テノホビル二リン酸となる13)。テノホビル二リン酸は,HIV-1逆転写酵素の基質であるデオキシアデノシン5'-三リン酸と競合すること及びDNAに取り込まれた後にDNA鎖伸長を停止させることにより,HIV-1逆転写酵素の活性を阻害する。哺乳類のDNAポリメラーゼα,β及びミトコンドリアDNAポリメラーゼγに対するテノホビル二リン酸の阻害作用は弱い14)。
2.抗ウイルス作用(in vitro)
- エムトリシタビン+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
- エムトリシタビンとテノホビルの併用により抗ウイルス活性を評価した試験では,相乗的な抗ウイルス作用が認められた。
- エムトリシタビン
- ヒトリンパ芽球様細胞株,MAGI-CCR5細胞株及び末梢血単核細胞を用いて,HIV-1の実験室株及び臨床分離株に対するエムトリシタビンの抗ウイルス活性を評価した。エムトリシタビンのEC50値は,0.0013〜0.64μMの範囲であった15) 16)。
- テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
- HIV-1の実験室株及び臨床分離株に対するテノホビルの抗ウイルス活性を,ヒトリンパ芽球様細胞株,単球/マクロファージ初代培養細胞及び末梢血リンパ球において評価した。テノホビルのEC50値は,0.04〜8.5μMの範囲であった。
3.薬剤耐性
- エムトリシタビン+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
- エムトリシタビンとテノホビルのin vitro での併用により,両剤に対する感受性が低下したHIV-1株を選択した。これらの分離株での遺伝子型解析の結果,ウイルス逆転写酵素遺伝子にM184V/I及び(あるいは)K65R変異が認められた。
934試験において,試験開始後144週までに血漿中HIV-1 RNA量が>400copies/mLとなりウイルス学的失敗となった症例又は試験中止となった症例から分離したHIV-1株の遺伝子型解析を行った。その結果,エファビレンツ関連変異が最も高頻度に認められたが,エムトリシタビン製剤+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤投与群とジドブジン/ラミブジン配合剤投与群との間に差は認められなかった。エムトリシタビン及びラミブジンに関連した変異であるM184Vが,エムトリシタビン製剤+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤投与群では19例中2例(11%)に,ジドブジン/ラミブジン配合剤投与群では29例中10例(34%)に認められた。K65R変異は試験開始後144週まで通常の遺伝子型解析で認められなかったが,さらに投与期間を延長した場合については不明である。 - エムトリシタビン
- In vitro及びin vivoにおいてエムトリシタビン耐性HIV-1株を得た。これらの分離株の遺伝子型解析により,エムトリシタビンに対する感受性の低下と,HIV-1逆転写酵素遺伝子のM184V/I変異との間に関連性が認められた17)。
- テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
- テノホビルに対する感受性が低下したHIV-1分離株をin vitro 試験により選択した結果,これらのウイルスは逆転写酵素遺伝子にK65R変異が発現しており,テノホビルに対する感受性が3〜4倍低下していた。
抗レトロウイルス薬による治療を未経験の患者では,テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤による144週までの治療でK65R変異を持つHIV-1株が8例に認められたが,そのうち7例は48週までに,1例は96週までに検出された。また,治療を経験した患者では,テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤の治療によるウイルス学的失敗例304例のうち14例からテノホビル耐性株が認められた。分離された耐性株を遺伝子型解析したところ,HIV-1逆転写酵素遺伝子にK65R変異が発現していた。
4.交差耐性18)
- エムトリシタビン+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
- これまでに一部の核酸系逆転写酵素阻害薬の間には交差耐性が認められている。エムトリシタビンとテノホビルの併用でin vitro において選択されたM184V/I及び(あるいは)K65R変異は,テノホビルとラミブジンあるいはエムトリシタビンの併用による治療,アバカビルによる治療,あるいはジダノシンによる治療に失敗した患者由来のHIV-1分離株からも認められている。したがって,これらの変異の両方あるいは一方を持つウイルスを有する患者では,これらの薬剤間で交差耐性を起こす可能性がある。
- エムトリシタビン
- エムトリシタビン耐性株(M184V/I)はラミブジン及びザルシタビンに対して交差耐性を示したが,ジダノシン,サニルブジン,テノホビル,ジドブジン及び非核酸系逆転写酵素阻害薬(デラビルジン,エファビレンツ及びネビラピン)に対してはin vitro で感受性を維持した。アバカビル,ジダノシン,テノホビル及びザルシタビンによりin vivo で選択されるK65R変異を有するHIV-1分離株では,エムトリシタビンに対する感受性の低下が確認された。ジドブジン関連変異(M41L,D67N,K70R,L210W,T215Y/F,K219Q/E)又はジダノシン関連変異(L74V)を有するウイルスは,エムトリシタビンに対する感受性を維持した。非核酸系逆転写酵素阻害薬耐性と関連づけられるK103N変異を有するHIV-1は,エムトリシタビンに対して感受性を示した。
- テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
- テノホビルで選択されるK65R変異は,アバカビル,ジダノシン及びザルシタビンにより治療された症例から分離したHIV-1株でも認められている。この変異株はエムトリシタビンやラミブジンに対する感受性も低下していたことから,K65R変異を持つウイルスを有する患者では,これらの薬剤間で交差耐性を起こす可能性がある。また,平均3ヵ所のジドブジン関連変異(M41L,D67N,K70R,L210W,T215Y/F又はK219Q/E/N)を有するHIV-1臨床分離株(20例)では,テノホビルに対する感受性が3.1倍低下していた。さらに,T69S変異の後に二アミノ酸が挿入される変異を持つ多剤耐性株においても,テノホビルに対する感受性は低下していた。
【有効成分に関する理化学的知見】
- 一般名
- エムトリシタビン Emtricitabine
- 化学名
- 4-Amino-5-fluoro-1-[(2R,5S)-2-(hydroxymethyl)-1,3-oxathiolan-5-yl]pyrimidin-2(1H)-one
- 分子式
- C8H10FN3O3S
- 分子量
- 247.25
- 化学構造式

- 性状
- 白色~帯黄白色の粉末であり,水,メタノールに溶けやすく,アセトニトリルに溶けにくく,酢酸イソプロピルに極めて溶けにくい。
- 融点
- 約155℃
- 分配係数
- -0.43(オクタノール/水)
- 一般名
- テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
Tenofovir Disoproxil Fumarate - 化学名
- Bis(isopropoxycarbonyloxymethyl){[(1R)-2-(6-amino-9H-purin-9-yl)-1-methylethoxy]methyl}phosphonate monofumarate
- 分子式
- C19H30N5O10P・C4H4O4
- 分子量
- 635.51
- 化学構造式

- 性状
- 白色~帯黄白色の結晶性の粉末であり,メタノール,エタノール(95)にやや溶けやすく,アセトン,水にやや溶けにくく,ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
- 融点
- 114~118℃
- 分配係数
- 1.25(1-オクタノール/pH6.5のリン酸塩緩衝液)
【包装】
ツルバダ®配合錠 30錠/瓶
【主要文献】
- テノホビルの薬物動態に関する検討(社内資料 1278-005)
- Benaboud S.et al., Antimicrob.Agents Chemother., 55 (3), 1315-1317, (2011)
- 古家英寿,他, 新薬と臨牀, 55 (10), 1515-1528, (2006)
- エムトリシタビンの薬物動態に関する検討(社内資料 15396)
- エムトリシタビンの薬物動態に関する検討(社内資料 FTC-106)
- Kearney B.P.et al., Clin Pharmacokinet., 43 (9), 595-612, (2004)
- エムトリシタビンの薬物動態に関する検討(社内資料 FTC-101)
- テノホビルの薬物動態に関する検討(社内資料 901,701試験)
- Ray A.S.et al., Abstract.Antimicrobial.Agents and Chemotherapy., 50 (10), 3297-3304, (2006)
- Gallant J.E.et al., N.Engl.J.Med., 354 (3), 251-260, (2006)
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- George R.P.et al., Drugs Future., 20 (8), 761-765, (1995)
- Robbins B.L.et al., Antimicrob.Agents Chemother., 42 (3), 612-617, (1998)
- Cihlar T.et al., Antivir.Chem.Chemother., 8 (3), 187-195, (1997)
- Jeong L.S.et al., J.Med.Chem., 36 (2), 181-195, (1993)
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- Tisdale M.et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA., 90 (12), 5653-5656, (1993)
- Miller M.D.et al., Nucleosides Nucleotides Nucleic Acids., 20 (4-7), 1025-1028, (2001) »PubMed
【文献請求先】
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