II2019年3月版の主な変更点

 前年度版から変更した主要な箇所には黄色のマーカーを付してある。以下に、2019年3月版で変更・追記した主要なポイントを挙げる:

  • 初回治療として選択すべき抗HIV薬の組み合わせを改訂した(第V章)。組み合わせの分類名は「推奨される組み合わせ」と「代替の組み合わせ」という従来の表現にした。2019年3月に承認された新しいインテグラーゼ阻害薬ビクテグラビル(BIC)を含む合剤を推奨薬として加えた(表V-2)。各組み合わせにおいて推奨の強さなどの見直しも行った。
  • V章の最後に「ウイルス学的抑制が長期に安定して得られている患者への薬剤変更について」という項目を加え、条件が合致すれば新たに承認された2 剤治療(DTG/RPV)への変更も選択肢の一つとなることを記載した。
  • 小児、青少年期における抗HIV治療では、最新の知見に基づいて治療開始基準や選択すべき薬剤を改訂した(第XIV章)
  • 曝露後予防内服薬に関して、TAF/FTC は妊婦での安全性が確立していないことを記載した(第XV章)。
    妊娠の可能性が否定できる場合はTAF/FTC+RALを使用してもよいことを記した。
<付>「推奨の強さ」と「推奨のエビデンスの質」をそれぞれA〜C、IIIIの三段階に分け、推奨評価の基準を記載した。
推奨の強さ
  1. A:強く推奨
  2. B:中程度の推奨
  3. C:任意
推奨のエビデンスの質
  1. I:臨床的エンドポイントおよび/または妥当性確認済みの検査評価項目を設定した無作為化臨床試験が1件以上
  2. II:長期的な臨床的エンドポイントを設定した、適切にデザインされた非無作為化臨床試験または観察コホート研究が1件以上
  3. III:専門家の見解

XIV章の「小児、青少年期における抗HIV療法」における推奨評価基準の内容は成人と異なる(下表)。

推奨の強さ
  1. A:強く推奨
  2. B:中程度の推奨
  3. C:任意
推奨のエビデンスの質
  1. I:小児で臨床的エンドポイントおよび/または妥当性確認済みの検査評価項目を設定した無作為化臨床試験が1件以上。
  2. I:成人で臨床的エンドポイントおよび/または妥当性確認済みの検査評価項目を設定した無作為化臨床試験が1件以上あり、小児でも非無作為化比較試験、またはコホート研究が1つ以上。
  3. II:小児で長期的な臨床的エンドポイントを設定した、適切にデザインされた非無作為化臨床試験または観察コホート研究が1件以上
  4. II:成人で長期的な臨床的エンドポイントを設定した、適切にデザインされた非無作為化臨床試験または観察コホート研究が1件以上あり、小児でも(小規模の)非無作為化比較試験、またはコホート研究が1つ以上
  5. III:専門家の見解
ガイドライン使用上の注意

 抗HIV治療ガイドラインは2019年3月現在の情報に基づいて記載されている。本ガイドラインは、医療者がHIV感染症の診療を行う場合の指針であり、最終的に診療をどのように行うかは個別の症例で病態を把握し、患者への利益を考えた上での判断が優先される。

 追訴されるべき法的論拠を本ガイドラインが提供するものでは決してない。

その他の章にも適宜加筆・修正を行ない、内容をアップデートしている。

<付>本ガイドラインで頻繁に用いられる略語
  • ART : 
    anti-retroviral therapy、抗レトロウイルス療法
    NRTI : 
    nucleoside/nucleotide reverse transcriptase inhibitor、核酸系(ヌクレオシド/ヌクレオチド)逆転写酵素阻害剤
    NNRTI : 
    non-nucleoside reverse transcriptase inhibitor、非核酸系逆転写酵素阻害剤
    PI : 
    protease inhibitor、プロテアーゼ阻害剤
    unboosted PI : 
    rtv(リトナビル)を併用しないPI
    boosted PI : 
    rtvを併用するPI
    INSTI : 
    integrase strand transfer inhibitor、インテグラーゼ阻害薬

薬剤名は原則としてアルファベット3文字略称で示した(V-1)参照。

利益相反の申告

 各改訂委員には、下記の基準で利益相反状況の申告を得た(内科系14学会によって作成された「臨床研究の利益相反(COI)に関する共通指針」による)。

  1. 臨床研究に関連する企業・組織や団体の役員、顧問職については、1つの企業・組織や団体からの報酬額が年間100万円以上とする。
  2. 株式の保有については、1つの企業についての1年間の株式による利益が100万円以上の場合、あるいは当該全株式の5%以上を所有する場合とする。
  3. 企業・組織や団体からの特許権使用料については、1つの権利使用料が年間100万円以上とする。
  4. 企業・組織や団体から、会議の出席(発表)に対して支払われた日当(講演料など)については、一つの企業・団体からの年間の講演料が合計50万円以上とする。
  5. 企業・組織や団体がパンフレットなどの執筆に対して支払った原稿料については、1つの企業・組織や団体からの年間の原稿料が合計50万円以上とする。
  6. 企業・組織や団体が提供する研究費については、一つの企業・団体から臨床研究(受託研究費、共同研究費など)に対して支払われた総額が年間200万円以上とする。
  7. 企業・組織や団体が提供する奨学(奨励)寄付金については、1つの企業・組織や団体から、申告者個人または申告者が所属する部局(講座・分野)あるいは研究室の代表者に支払われた総額が年間200万円以上の場合とする。
  8. 企業・組織や団体が提供する寄付講座に申告者らが所属している場合とする。
  9. その他、研究とは直接無関係な旅行、贈答品などの提供については、1つの企業・組織や団体から受けた総額が年間5万円以上とする。但し、6、7については、筆頭発表者個人か、筆頭発表者が所属する部局(講座、分野)あるいは研究室などへ研究成果の発表に関連し、開示すべきCOI関係にある企業や団体などからの研究経費、奨学寄付金などの提供があった場合に申告する必要がある。

上記の基準に基づいて得た申告内容は以下の通りである。

委員へ講演料を支払っている企業・団体
MSD株式会社
委員の所属部門へ研究費を支払っている企業・団体
シミック株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社

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