XIHIV/HBV共感染者での抗HIV療法

要約

  1. HIV感染者がHBVに共感染した場合、HBV感染症の病期進展は速やかとなり、肝硬変、肝癌への進展が早いことが判明している。このためHBV単独感染よりも早期のHBV治療が求められる。
  2. HIVとHBVに対する抗ウイルス療法薬には、双方に対して抗ウイルス効果を示す薬剤がある。そのため双方の疾患の病態を把握せず、不用意にそれぞれの疾患に対する単一薬剤による治療を開始すると、HIVあるいはHBVの耐性株を招来する可能性がある。HIV感染症が判明し、抗HIV療法を開始する際には、必ずHBs抗原、HBs抗体、HBc抗体をチェックしB型肝炎の合併の有無・既往を確かめる必要がある(AIII)。また、HBc抗体のみが陽性の場合には、HBV DNA量を測定しoccult HBV感染の可能性を否定しておくことが必要である(BIII)。
  3. HIV/HBV共感染の場合のARTレジメンはHIVとHBV双方に効果のあるテノホビル(TDFもしくはTAF)と、エムトリシタビン(FTC)もしくはラミブジン(3TC)を含めた組み合わせを原則とする(AI)。

1.疫学

 世界的には、HIV/HBVの共感染者はHIV感染者の10%存在すると推定されている1)。国内では、かつては、2001年に大阪で行われたMSM(men who have sex with men)向けイベントで、受験者401名中、単独HIV感染率が3.3%で単独HBsAg陽性率は1.5%に過ぎなかった2)。ところが、同じ大阪での2006年の調査で、小島らは大阪府下のHIV抗体陽性者97例のうち9例(9.2%)がHBs抗原陽性であり、その全例がgenotype Aeと報告している3)。西田らは、2006年時においてHIV感染者中のHBsAg陽性率を6.5%と報告している4)。また小池らによる2007年の全国調査では、HIV感染者のHBV感染合併率は6.3%であり、MSMの13%がHBVに共感染しているとされている5)。これらのことから、国内においても(特に都市部では)HIV/HBV共感染者は少なくとも6〜10%前後であろうと推定され、HIV感染者の増加に伴ってその総数は増え続けていると考えられる。我が国では、HIV感染者におけるHBVワクチンの接種率は非常に低いため、今後も増加し続ける可能性が高い。

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