XIHIV/HBV共感染者での抗HIV療法

6.HIV未確認者におけるHBV単剤治療は不可;
エンテカビルを含む全ての核酸系抗ウイルス薬は単独使用できない(AII)

 国内におけるHBV治療薬の承認は、2000年にラミブジン:LAM(ゼフィックス®)に始まり、2004年にアデホビル:ADV(ヘプセラ®)、2006年にはエンテカビル:ETV(バラクルード®)が使用可能となった。2011年にペグインターフェロン">α-2a(ペガシス®)が慢性B型肝炎治療薬として効能・効果が追加承認された。2014年にテノホビル・ジソプロキシフマル酸塩:TDF(テノゼット®)、2017年2月にテノホビル・アラフェナミドフマル酸塩:TAF(ベムリディ®)が慢性B型肝炎に対する使用が承認された。

 単独HBV慢性肝炎の場合には「慢性肝炎に対する初回治療では、HBe抗原陽性・陰性やHBVゲノタイプにかかわらず、原則としてペグインターフェロン単独治療を第一に検討する。特に、若年者や挙児希望者など、核酸アナログ製剤の長期継続投与を回避したい症例ではペグインターフェロンが第一選択となる。」(一部簡略化)というガイドラインが公表されている17)。とはいえ、ペグインターフェロンの認可は2011年であり、2000年〜2006年にラミブジン、アデホビル、エンテカビルが認可されたため、忍容性の高い経口剤による治療が選択される機会が多かった。すなわち2006年以前には、HIVへの共感染を見落としたまま、ラミブジンを単独投与してしまうという事例が数多くみられた。そのため、HIVのラミブジン耐性変異であるM184Vを多く生じさせ、HIV治療の大きな柱を失うこととなった。HBV耐性変異(YMDD変異)もラミブジン2年間の使用で40%、4年間の使用で90%に生じると予測されている18, 19)。このため新規にHIV感染者を診療する場合には、過去のHBV治療歴を詳しく聴取する必要がある。また2007年には、B型慢性肝炎治療に最も使用頻度が高いエンテカビルで、抗HIV効果を有しHIVの耐性変異(M184V)を生じ得ることが報告されており20)、HIV感染の有無を未確認下でエンテカビルを単独使用することはあってはならないことである13, 14)。アデホビルも理論的には抗HIV薬であるテノホビルに対する薬剤耐性(K65R)を誘導する可能性があり、同様に単独使用は控えるべきである21)

 また近年、アジア、アフリカなどでの比較的安価な抗HIV薬の合剤(d4T/3TC/NVP、AZT/3TC/EFV)などの投与により、共感染しているHBVの耐性化例が報告されており、これらの地域からのHBV耐性株の蔓延が危惧されるところである22)

PAGE TOP

アンケートにご協力ください。

このページは役に立ちましたか?

コメント