XIHIV/HBV共感染者での抗HIV療法

7.HIV/HBV共感染におけるB型慢性肝炎の治療適応と治療薬の選択

 HIVまたはHBV感染症に対する治療適応がある場合には2剤以上の抗HBV活性を有する多剤併用抗HIV療法を始めることとなる(表XI-2)13, 14)DHHSのガイドラインにおいてCD4数に限らずHIV治療開始を推奨することから、HIV/HBV共感染者に対する治療もCD4数(AI)やHBV-DNA数に関係なくテノホビル(TDFもしくはTAF)と、エムトリシタビン(FTC)もしくはラミブジン(3TC)の2剤を含むARTレジメンで治療することが推奨される(AI)13, 14)。テノホビルはwild-typeのHBVやラミブジン耐性HBVに対しても有効である13, 14)TAFはTDFよりも腎・骨への悪影響が少ない可能性がある。HIV/HBV共感染例のSwitch studyではTDFを含むレジメンからEVG/cobi/TAF/FTCに変更してもHBV抑制は維持・達成され推算糸球体濾過量(eGFR)や骨マーカーは改善した23)

 B型肝炎のみに治療適応があり、「HIV感染症に治療適応がない・あるいは治療を望まない」という状況は、2009年以降の抗HIV治療ガイドライン上は非常に稀であるものの、このような場合には、ペグインターフェロンの使用が考慮される(CIII)13, 14)。HIV/HBV共感染者に多いHBV genotype Aは他の遺伝子型に比べてインターフェロン製剤の効果が高いことが知られている。アデホビルの使用も考慮に値するが、前述したようにテノホビルに対する耐性変異をHIVが獲得する可能性があるので積極的な推奨はできない13, 20)

表XI-2 HIV/HBV共感染患者に対するHIV治療の考え方
  治療薬
推奨
  • NRTIとしてTDF/FTC,TAF/FTCまたはTDF+3TCを使用(AI)。
  • HBVの薬剤耐性化を防ぐために、3TC,TDF,TAF,FTCを単一の抗HBV薬として使用しない。
代替
  • 「TDFまたはTAF」の使用が好ましくない場合は、ETVを抗HBV薬として使用し、同時に十分なHIV抑
    制作用を持つ抗HIV治療を併用する(AⅠⅠ)
  • 3TC耐性のHBVを有する(または疑われる)患者では、ETVを0.5mg/日から1.0mg/日へ増量する。
  • あるいは、十分なHIV抑制作用を持つ抗HIV治療とともに、「3TCまたはFTC」+ADVを行う。
    しかし、HIV/HBV共感染者において、この組み合わせには十分なデータがない(CⅡ)。
  • HBVだけを治療する場合にはペグインターフェロンを検討する(CⅠⅠⅠ)。

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