XIIHIV/HCV共感染者での抗HIV療法

要約

HCV単独感染症の治療はペグインターフェロン(Peg-IFN) + リバビリン(Ribavirin)併用療法が標準治療であったが、プロテアーゼ阻害薬をはじめとするDAA(Direct-Acting Antivirals)の登場により“ペグインターフェロン+リバビリン+DAA併用療法”を経て“DAA併用療法”が標準療法として定着した。HIV合併例に関してもHCV単独感染例同様の治療効果が得られることが明らかにされている。

1.疫学

 HIV感染症は非経口的に感染する。中でも性交渉による感染が多い。これに対してHCVは性交渉での感染は起こりにくい。従ってこの二つの合併が起こるのはHIV、HCVに汚染された血液製剤(輸血を含む)を使用した場合が多い。他に、麻薬常習者、MSM(men who have sex with men)においても重複感染を起しうる1)。最近HIV領域でも行われているMolecular Network解析がHIV/HCV共感染者を対象に行われ、“多数のパートナーを有するMSM・麻薬静注者”がHCV感染の起点となっている可能性が示された2)。MSMにおけるHCV感染は、ハイリスクの性交渉が大きな要因と考えられる3)。血清HCV RNAが105IU/mL以上の重複感染者の85%で精液中のHCV RNAが陽性で性交渉後の腸液中HCV RNAが陽性であることが報告された4)。日本においてもMSMにおけるC型肝炎が問題になっている5)

 2006年に厚生労働省の研究班が行った全国調査によれば4877人のHIV感染者のうち930名(19.2%)がHCV抗体陽性でそのうち780名(83.9%)がHCV RNA陽性であった。従ってHCV感染の合併が約2割の症例に起こり、その15%が治癒し、残り85%は持続感染に移行していると考えられる6)

 上述の通り、HIV感染者におけるHCV感染の合併率は感染経路により差が大きい。血液製剤によってHIVに感染した例のうちの約97%がHIV/HCV共感染例である。一方、MSMのHIV感染例でHCVに共感染しているのは約4%にすぎない。しかしながら、同年代の一般人口におけるHCV感染率(1%弱と推定される)に比べて高率である7)。血液凝固異常の患者におけるHIV感染症の合併の実態に関しては別の研究班でもまとめられており、HIV感染例の98%がHCVに合併感染していると報告されている8)

 C型肝炎はウイルス表面のエンベロープ領域が多様性に富むため、急性肝炎の治癒後に中和抗体ができてもウイルスの再感染を防げないことが多い。欧米ではIV drug userやMSMにおける再感染が問題となっている9, 10)。DAA併用療法後の再感染も最近の話題であり、ソホスブビルを含んだDAA併用療法を受けた3004人中7人が再感染、5人が再燃したと報告された11)

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