XIIHIV/HCV共感染者での抗HIV療法

4.HIV感染症がHCV感染症の自然経過に及ぼす影響

 慢性HCV感染患者は単独感染の場合に比べて重複感染の方が線維化の進行が速いことが知られている。Benhamouらによれば、HIVの重複感染があると約1.5倍の速度で線維化が進展するとしている28)。また、平均2.9年間隔で2度の肝生検を行ったSulkowskiらによれば、24%に明らかな線維化の進展が観察されたという29)。線維化進展の危険因子としてはアルコール摂取、年齢、CD4が200/μL未満30)、ビタミン25(OH)D3の血清濃度が線維化進展の危険因子であることが報告されている31)。線維化亢進のメカニズムは複雑であるが、HIVがHCVの複製を亢進させ、この際にTGF-βの活性化を伴うこと32)、HIVが肝臓の星細胞に感染してコラーゲンなどの合成を亢進させること33)、腸管のCD4陽性T細胞の枯渇により吸収されやすくなったLipopolysaccharide(LPS)が肝臓のKupffer細胞からのTGF-β等の分泌を亢進させること34)などが明らかにされている。末梢血のCD163がHIVの共感染があると活性化され、肝線維化進展に関与することも報告された35)

 また、共感染例では、HCV単独感染に比べHCV-RNA量が、平均して0.5〜1log高いことも知られている27)。ただし、共感染例におけるC型慢性肝炎の進行が速いことと、HCV-RNA量が多いことの間に関連性が存在するかどうかは明らかではない。

 HCV感染症で最も大きい問題は肝細胞癌の合併である。肝細胞癌に関しても重複感染例は単独感染例に比べて感染から発癌までの時間が短く、より若年齢で発症することが確認されている36)。肝硬変合併例では、インスリン抵抗性を有する場合に発癌リスクが高い37)

 ARTの肝線維化に及ぼす影響に関してはこれまでは弱い肝線維化抑制効果しかないとする報告が多かったが17, 38)、HIV RNA量とCD4数が十分にコントロールされている場合、肝線維化の進展はHIV非合併例と同様であるという報告が複数あり39-41)、ARTが肝線維化の進展を遅らせることは間違いなさそうである。ただし最終的にEnd-Stage-Liver-Disease(ESLD)への進行を止めることはできないことも明らかにされている42)

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