XIIHIV/HCV共感染者での抗HIV療法

8.ARTのHCV感染症に対する影響

 C型慢性肝炎患者に対しARTを12ヶ月継続することにより、HCV-RNAが約10分の1に減少したとする報告もある62)が、最近の報告ではART施行後にHCV-RNA量は増加するとする報告が多い63-65)

 ARTが慢性肝炎の自然経過に及ぼす影響は、HIV/HCV共染患者の予後を考える上で重要な問題である。ARTの導入以降、肝線維化の進行を遅らせることができることが報告されている66-68)。ただし、ARTによってHIV感染症、特にCD4数が良好にコントロールされることが条件である。また、ARTを継続することにより、肝疾患による死亡を減らすことができるという報告もある69)

 一方、HCV共感染症があっても、ARTの継続期間が生命予後と関連のあること70, 71)も報告されており、HCV感染症があってもARTが優先することに間違いはない。Mehtaらの報告によれば、HIV/HCV共感染症においては、50歳以上・女性・アルコール多飲歴・ALTが正常上限の2.5倍以上を持続すること・肝組織の壊死炎症及び脂肪化が強いことがF3以上の線維化の独立した危険因子として挙げられており、ARTは少なくとも悪化因子ではないとしている72)。C型肝炎に対する抗ウイルス療法が重要であることが改めて示されているといえる。

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