XIIHIV/HCV共感染者での抗HIV療法

9.ARTと薬剤性肝障害

 HIV/HCV共感染例では、ART施行時に薬剤性肝障害の頻度が高い。特に、プロテアーゼ阻害剤(PI)の投与時に多く見られる。

 抗HIV薬使用時の肝障害はHCV共感染例で増加することも明らかにされている。例えば、肝障害発生率は、HIV/HCV共感染例では54%であったのに対して、HIV感染のみの例では39%であった73)。一般にはritonavirを含む処方で肝障害が多いが、重複感染例ではritonavir以外のPIプロテアーゼ阻害剤を含むARTで重症肝障害が多いという矛盾したデータも出ている(共感染例では9.4%であったのに対して、HIV感染のみの例では2.7%であった)。NNRTIは一般に肝障害が比較的少ないが、nevirapineで最大20%の共感染例でGPT上昇(5〜10倍)の報告があり74)、HCVあるいはHBVの共感染例やプロテアーゼ阻害剤PIの同時使用で頻度が多いとされている75)。ARTにおいてNNRTI、さらにインテグラーゼ阻害薬が多用されるようになって薬剤性肝障害の頻度は減少してきている。線維化の進展速度もバックボーンにNRTIを選択した方が緩やかであるという報告もされている76)

 ART施行後肝障害が出現・増悪した場合でも、ARTを必ずしも中断する必要はない。肝障害はART継続下でも軽快する場合も多いとされているからである77)。しかしながら、ART施行後の肝障害は肝線維化の進展した症例ほど高頻度に出現するため78)、特に肝硬変の症例に対してARTを行う際には肝機能のモニタリングを頻繁に行い、肝障害の出現・増悪時にはARTの中断・薬剤の変更を行う必要がある。

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