XV医療従事者におけるHIVの曝露対策

4.抗HIV薬の予防内服開始について

 2013年のCDCガイドラインは、感染のリスクが高い場合には曝露後に抗HIV薬の多剤併用投与を開始し、4週間は予防内服を継続することを推奨している6)。HIV曝露後の抗HIV薬内服を実施すべきか否かについては、それぞれの事例について感染成立のリスクを考慮しつつ、専門医と相談の上で最終的には曝露医療者が決定する権利を有する。

 現在、曝露後の予防内服は労災保険の保険給付として認められるため10)、曝露の記録を文書で残すことは非常に重要である。院内感染対策マニュアルにはその流れも含まれていなければならない。

 曝露後予防は時間外に発生する場合も多く、その場合には救急外来医師が曝露後予防の抗HIV薬を開始する場合も多い。各医療機関のマニュアルには時間外の対応も含まれていなければならない。特に重要な事項は、そのような場合にも曝露後予防内服開始に遅延がないよう準備されておくことである。

医療スタッフへの説明

以下の説明をすることで医療スタッフの過剰な心配を減らすことができる。

  1. 針に含まれる血液量は1µL前後である(文献*1*2)。
  2. 患者のHIV RNA量が10万コピー/mLでは1µLに含まれるウイルス量は100個であり、HIV RNA量が20コピー/mLでは1µLに含まれるウイルス量は0.02個である。
  3. HIVウイルス粒子で感染が可能な粒子の頻度は 1,000個に1個程度である。(文献*3)。
  4. 以上より針刺し事故時に医療者が曝露した感染性粒子の数は、患者のHIV RNA量が10万コピー/mLでは0.1個、20コピー/mLでは 0.00002個と推定される。

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