XV医療従事者におけるHIVの曝露対策

9.曝露後の予防内服に関する説明

 曝露後予防が必要となる場合は、曝露した医療従事者に対して、以下の事項が説明されなければならない6)

  • 曝露後予防の有効性は確立されていないこと
  • HIV専門家の多くは多剤併用療法を推奨していること
  • 抗HIV薬による副作用、とくに妊婦に投与した場合の胎児への安全性が確認されていないこと
  • 短期間の抗HIV薬の投与による副作用は少ないが、曝露後予防を受けた医療従事者に重大な副作用(腎結石、薬疹、肝機能検査異常、汎血球減少、横紋筋融解、Stevens-Johnson症候群、劇症肝炎、など)が報告されていること6)

 対象者が女性の場合は妊娠の有無につき考慮が必要であり、予防内服の期間を含む一定期間の避妊についても指導されなければならない。

 曝露後予防を実施する人には全員、副作用のチェックのために、少なくとも服用開始前と開始後2週間における血算、肝機能検査、腎機能検査、血糖値、尿検査が必須である。

以下の場合には、専門家との相談を必須とする。

 専門医との相談はある状況では必須であるが(表XV-4)、そのために曝露後予防薬の開始に遅延があってはならない。

表XV-4 HIV曝露後予防時に専門家に相談することが推奨される状況
1 曝露の報告が遅延した場合
(例えば72時間以上)
遅延した場合には曝露後予防での有効性は不明である。
2 由来源不明の場合
(例えば針捨てボックス内や洗濯物内の針)
曝露後予防はケースバイケースで使用すること。曝露の重篤さとHIV曝露の疫学的起こりやすさを勘案して考えること。針や鋭利物に対してHIV検査を実施することは米国では推奨されていない。
3 曝露者に妊娠が明確または疑われる場合 専門家への相談のために曝露後予防が遅れてはならない。
4 曝露者における授乳 専門家への相談のために曝露後予防が遅れてはならない。
5 由来ウイルスの薬剤耐性が明確または疑われる場合 由来患者ウイルスが曝露後予防で使用される薬剤の1剤以上への耐性が明確である、または疑われる場合には、由来患者ウイルスが耐性がないであろう薬剤を選択することが推奨される。また、由来患者ウイルスの耐性検査を待つために曝露後予防が遅れてはならない。
6 初回曝露後予防開始後の毒性 症状(例えば消化器症状やその他症状)の多くは曝露後予防の薬剤を変更することなく対応可能である。症状はしばしば不安により悪化するため、副作用への対応に関するカウンセリングとサポートは非常に重要である。
7 曝露者における重篤な疾患 背景に重篤な疾患がある場合や曝露者が既に複数の薬剤を内服している場合には、薬剤毒性や薬剤相互作用が増える可能性を考慮しなければならない。

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