デシコビ配合錠LT/デシコビ配合錠HTの添付文書
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- 商品名:
- デシコビ配合錠LT/デシコビ配合錠HT
- 一般名:
- FTC/TAF(エムトリシタビン+テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)
- 略称 :
- DVY
添付文書の読み方
ここで提供している添付文書情報は、2017年7月24日現在の各医薬品の添付文書を基に作成したものです。書式等については、実際の添付文書と異なるところがあります。添付文書情報は随時更新されます。ご使用の際は、必ず最新の添付文書をご覧下さい。
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2016年12月改訂(第2版)
- 日本標準商品分類番号
- 87625
- 貯法等:乾燥剤を同封した気密容器、室温保存
- 開栓後は湿気を避けて保存すること
使用期限:2年(外箱及びラベルに表示の使用期限を参照のこと)
劇薬
処方箋医薬品注1)
注1)注意ー医師等の処方箋により使用すること
| LT | HT | |
|---|---|---|
| 承認番号 | 22800AMX00716000 | 22800AMX00717000 |
| 薬価収載 | 2016年12月 | 2016年12月 |
| 販売開始 | 2017年1月 | 2017年1月 |
| 国際誕生 | 2016年4月 | 2016年4月 |
【警告】
B型慢性肝炎を合併している患者では,本剤の投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので,本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。 特に非代償性の場合,重症化するおそれがあるので注意すること。
【禁忌】
(次の患者には投与しないこと)- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- テラプレビルを投与中の患者(「相互作用」の項参照)
【組成・性状】
| デシコビ配合錠LT | |
|---|---|
| 有効成分(1錠中) | エムトリシタビン200mg及びテノホビルアラフェナミドフマル酸塩11.2mg(テノホビルアラフェナミドとして10mg) |
| 添加物 | クロスカルメロースNa,セルロース,ステアリン酸Mg,ポリビニルアルコール(部分けん化物),酸化鉄,マクロゴール,酸化チタン,タルク |
| 性状・剤形 | 灰色のフィルムコーティング錠 |
| 外形 | |
| サイズ | 長径 約12.7mm,短径 約6.5mm,重量 約360mg |
| 識別コード | GSI-210 |
| デシコビ配合錠HT | |
|---|---|
| 有効成分(1錠中) | エムトリシタビン200mg及びテノホビルアラフェナミドフマル酸塩28mg(テノホビルアラフェナミドとして25mg) |
| 添加物 | クロスカルメロースNa,セルロース,ステアリン酸Mg,ポリビニルアルコール(部分けん化物),青色2号,マクロゴール,酸化チタン,タルク |
| 性状・剤形 | 青色のフィルムコーティング錠 |
| 外形 | |
| サイズ | 長径 約12.7mm,短径 約6.5mm,重量 約360mg |
| 識別コード | GSI-225 |
【効能・効果】
HIV-1感染症
<効能・効果に関連する使用上の注意>
本剤による治療にあたっては,患者の治療歴及び可能な場合には薬剤耐性検査(遺伝子型解析あるいは表現型解析)を参考にすること。
【用法・用量】
通常,成人及び12歳以上かつ体重35kg以上の小児には,以下の用法・用量で経口投与する。投与に際しては,必ず他の抗HIV薬と併用すること。
- リトナビル又はコビシスタットと併用する場合は,デシコビ配合錠LT(エムトリシタビンとして 200mg及びテノホビルアラフェナミドとして10mgを含有)を1日1回1錠経口投与する。
- リトナビル又はコビシスタットと併用しない場合は,デシコビ配合錠HT(エムトリシタビンとして 200mg及びテノホビルアラフェナミドとして25mgを含有)を1日1回1錠経口投与する。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
- 本剤による治療は,抗HIV療法に十分な経験を持つ医師のもとで開始すること。
- 本剤はエムトリシタビン及びテノホビルアラフェナミドフマル酸塩の2成分を含有した配合錠である。これらの成分を含む製剤と併用しないこと。また,テノホビルジソプロキシルフマル酸塩を含む製剤についても併用しないこと。
- 投与開始時に,クレアチニンクリアランスが30mL/min以上であることを確認すること。また,本剤投与後,クレアチニンクリアランスが30mL/min未満に低下した場合は,投与の中止を考慮すること。
【使用上の注意】
1.慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
重度の腎機能障害のある患者[エムトリシタビンの血中濃度が上昇する(「薬物動態」の項参照)。]
2.重要な基本的注意
-
本剤の使用に際しては,患者又はそれに代わる適切な者に次の事項についてよく説明し同意を得た後,使用すること。
- 本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから,日和見感染症を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので,本剤投与開始後の身体状況の変化についてはすべて担当医に報告すること。
- 本剤の長期投与による影響については現在のところ不明であること。
- 本剤による治療が,性的接触又は血液汚染等による他者へのHIV感染の危険性を低下させるかどうかは証明されていないこと。
- 担当医の指示なしに用量を変更したり,服用を中止したりしないこと。
- 本剤は併用薬剤と相互作用を起こすことがあるため,服用中のすべての薬剤を担当医に報告すること(「相互作用」の項参照)。また,本剤で治療中に新たに他の薬剤を服用する場合,事前に担当医に相談すること。
- エムトリシタビン又はテノホビルを含む核酸系逆転写酵素阻害薬の単独投与又はこれらの併用療法により,重篤な乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)が,女性に多く報告されているので, 乳酸アシドーシス又は肝細胞毒性が疑われる臨床症状又は検査値異常(アミノトランスフェラーゼの急激な上昇等)が認められた場合には,本剤の投与を一時中止すること。特に肝疾患の危険因子を有する患者においては注意すること。
- 抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で,免疫再構築炎症反応症候群が報告されている。投与開始後,免疫機能が回復し,症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス,サイトメガロウイルス,ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現する ことがある。 また,免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症,多発性筋炎,ギラン・バレー症候群,ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので,これらの症状を評価し,必要時には適切な治療を考慮すること。
- 本剤投与前にクレアチニンクリアランス,尿糖及び尿蛋白の検査を実施すること。また,本剤投与後も定期的な検査等により患者の状態を注意深く観察し,腎機能障害のリスクを有する患者には血清リンの検査も実施すること。腎毒性を有する薬剤との併用は避けることが望ましい。
- 非臨床試験及び臨床試験において,骨密度の低下と骨代謝の生化学マーカーの上昇が認められ,骨代謝の亢進が示唆された。また,抗HIV薬による治療経験がないHIV-1感染症患者に対し,テノホビルアラフェナミドフマル酸塩を含有する製剤が投与された臨床試験において,骨密度が低下した症例が認められた。 病的骨折の既往のある患者又はその他の慢性骨疾患を有する患者では,十分な観察を行い,異常が認められた場合には,投与を中止する等,適切な処置を行うこと。
- エムトリシタビンと類似の薬剤耐性,ウイルス学的特性を有しているラミブジンを含む製剤と併用しないこと。また,ラミブジン及びテノホビルジソプロキシルフマル酸塩を含む抗HIV療法においてウイルス学的効果が得られず,HIV-1逆転写酵素遺伝子のM184V/I変異が認められた場合, ラミブジン及びテノホビルジソプロキシルフマル酸塩を本剤に変更することのみで効果の改善は期待できない。
- アジア系人種におけるエムトリシタビンの薬物動態は十分に検討されていないが,少数例の健康成人及びB型慢性肝炎のアジア系人種において,Cmaxの上昇を示唆する成績が得られているので,HBV感染症合併患者を含め,副作用の発現に注意すること。
- 抗HIV薬の使用により,体脂肪の再分布/蓄積が現れることがあるので,異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
- エムトリシタビン製剤の臨床試験において皮膚変色が発現し,その発現頻度は有色人種で高いことが示唆されている。その原因は現在のところ不明である。
3.相互作用
テノホビル及びエムトリシタビン:糸球体ろ過と能動的な尿細管分泌により腎排泄される1)2)。
テノホビルアラフェナミド:カテプシンA3)4),CYP3A5)及びP-gp6)の基質である。
1.併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| テラプレビル (テラビック) |
テノホビルアラフェナミドの抗HIV-1活性が低下するため,本剤の効果が減弱する可能性がある。 | テラプレビルのカテプシンA活性阻害作用によるため。 |
2.併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| カルバマゼピン フェノバルビタール フェニトイン ホスフェニトイン リファブチン リファンピシン セイヨウオトギリソウ(St.John’sWort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 |
これらの薬剤と併用することにより,テノホビルアラフェナミドの血中濃度が低下する可能性がある。 | これら薬剤のP-gp誘導作用によるため。 |
| アシクロビル バラシクロビル塩酸塩 ガンシクロビル バルガンシクロビル塩酸塩 |
これら薬剤,テノホビル又はエムトリシタビンの血中濃度が上昇し,これら薬剤又は本剤による有害事象を増強する可能性がある。 | 尿細管への能動輸送により排泄される薬剤と併用する場合,排泄経路の競合により排泄が遅延するため。 |
4.副作用
本剤投与時:抗HIV薬による治療経験があり,ウイルス学的に抑制されているHIV-1感染症患者を対象とした本剤の海外臨床試験(投与後48週時)において,333例中31例(9.3%)に副作用が認められた。主な副作用は,悪心4例(1.2%),下痢4例(1.2%)等であった。(承認時)
ゲンボイヤ配合錠投与時:抗HIV薬による治療経験がないHIV-1感染症患者を対象とした本剤有効成分を含むゲンボイヤ配合錠(エルビテグラビルとして150mg,コビシスタットとして150mg,エムトリシタビンとして200mg及びテノホビルアラフェナミドとして10mgを含有する抗HIV薬)の海外臨床試験(投与後96週時)において,866例中367例(42.4%)に副作用が認められた。主な副作用は,悪心90例(10.4%),下痢63例(7.3%),頭痛53例(6.1%)等であった。 また,抗HIV薬による治療経験があり,ウイルス学的に抑制されているHIV-1感染症患者を対象としたゲンボイヤ配合錠の海外臨床試験(投与後96週時)において,959例中218例(22.7%)に副作用が認められた。主な副作用は,下痢25例(2.6%),悪心22例(2.3%)等であった。(承認時)
(1)重大な副作用
- 腎不全又は重度の腎機能障害(1%未満)
腎機能不全,腎不全,急性腎不全,近位腎尿細管機能障害,ファンコニー症候群,急性腎尿細管壊死,腎性尿崩症又は腎炎等の重度の腎機能障害が現れることがあるので,定期的に検査を行う等,観察を十分に行い,臨床検査値に異常が認められた場合には,投与を中止する等,適切な処置を行うこと。特に腎機能障害の既往がある患者や腎毒性のある薬剤が投与されている患者では注意すること。 - 乳酸アシドーシス(頻度不明)注2)
乳酸アシドーシスが現れることがあるので,このような場合には,投与を中止する等,適切な処置を行うこと。
注2)エムトリシタビン又はテノホビルジソプロキシルフマル酸塩を含有する製剤の臨床試験,製造販売後調査及び自発報告等で報告された副作用を示した。
(2)その他の副作用
下記の副作用が現れることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合は適切な処置を行うこと。
| 種類\頻度 | 2%以上 | 2%未満 |
|---|---|---|
| 代謝及び栄養障害 | 食欲減退,高コレステロール血症 | |
| 精神障害 | 異常な夢,不眠症 | |
| 神経系障害 | 頭痛 | 浮動性めまい,傾眠 |
| 胃腸障害 | 悪心,下痢,放屁 | 嘔吐,腹部膨満,腹痛,上腹部痛,便秘,消化不良 |
| 皮膚及び皮下組織障害 | 発疹 | |
| 筋骨格系及び結合組織障害 | 骨減少症,骨粗鬆症 | |
| 腎及び尿路障害 | 蛋白尿 | |
| 一般・全身障害及び投与部位の状態 | 疲労 |
5.高齢者への投与
本剤の高齢者における薬物動態は検討されていない。本剤の投与に際しては,患者の肝,腎及び心機能の低下,合併症,併用薬等を十分に考慮すること。
6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立されていない。動物試験(サル)においてテノホビルの胎児への移行が報告されている7)。]
- 本剤服用中は授乳を中止させること。[テノホビル及びエムトリシタビンのヒト乳汁への移行が報告されている8)。 なお,テノホビルアラフェナミドのヒト乳汁への移行は不明である。また,女性のHIV感染症患者は,乳児のHIV感染を避けるため,乳児に母乳を与えないことが望ましい。]
7.小児等への投与
低出生体重児,新生児,乳児,幼児,12歳未満又は体重35kg未満の小児に対する安全性は確立していない。
8.過量投与
本剤の過量投与に関するデータは限られている。過量投与時に特有の徴候や症状は不明である。過量投与時には,本剤の副作用(「副作用」の項参照)について十分に観察を行い,必要に応じ一般的な対症療法を行うこと。エムトリシタビン及びテノホビルは血液透析により一部除去される。
【薬物動態】
海外臨床試験における成績
1.吸収
健康成人被験者に,エルビテグラビル150mg及びコビシスタット150mgと共にデシコビ配合錠LTを単回経口投与した時の,エムトリシタビン及びテノホビルアラフェナミドの薬物動態パラメータを表1に示す9)。
| エムトリシタビン | テノホビル アラフェナミド | |
|---|---|---|
| tmax (hr) |
2.0 (1.0-5.0) |
1.5 (0.5-4.0) |
| Cmax(μg/mL) | 1.7±0.3 | 0.30±0.15 |
| t1/2(hr) | 18.1±8.5 | 0.41±0.16 |
| AUCinf (μg・hr/mL) |
10.5±2.8 | 0.35±0.11 |
tmax:中央値(最小値-最大値)
健康成人被験者に,デシコビ配合錠 HTを単回経口投与した時の,エムトリシタビン及びテノホビルアラフェナミドの薬物動態パラメータを表 2に示す10)。
| エムトリシタビン | テノホビル アラフェナミド | |
|---|---|---|
| tmax (hr) |
2.0 (1.0-5.0) |
1.5 (0.5-4.0) |
| Cmax(μg/mL) | 1.6±0.4 | 0.28±0.18 |
| t1/2(hr) | 22.3±11.6 | 0.47±0.13 |
| AUCinf (μg・hr/mL) |
9.7±1.9 | 0.40±0.17 |
tmax:中央値(最小値-最大値)
2.食事の影響
デシコビ配合錠HTを高脂肪食(約800kcal,50%が脂肪由来)摂取時に投与した場合,空腹時と比較して,エムトリシタビンのCmax及びAUCinfは, それぞれ27%及び9%低下し,テノホビルアラフェナミドのCmax及びAUCinfは,それぞれ15%低下及び75%上昇した11)。
3.分布
エムトリシタビン:ヒト血漿蛋白に対する結合率は,0.02~200μg/mLの濃度範囲において濃度に依存せず4%未満であった。
テノホビル アラフェナミド:テノホビル アラフェナミドのヒト血漿蛋白に対する結合率は77~86%であった12)。
テノホビル:テノホビルのヒト血漿蛋白に対する結合率は0.7%未満であった13)。
4.代謝
エムトリシタビン:ヒト肝ミクロソームを用いた各種検討において,2%未満の代謝物が検出された。14C-エムトリシタビンを単回投与したところ,投与量の13%の代謝物がヒト尿中に検出された14)15)。
テノホビルアラフェナミド:経口投与後,末梢血単核球及びマクロファージのカテプシンA及び肝細胞のカルボキシルエステラーゼ1によりテノホビルに代謝され,その後, テノホビル二リン酸に代謝された3)4)16)。CYP分子種発現系酵素を用いた検討において,テノホビル アラフェナミドはCYP3Aでわずかに代謝され,その代謝速度は1.9pmol/min/pmol CYPであった5)。
5.排泄
エムトリシタビン:健康被験者にエムトリシタビン200mgを反復投与後14C-エムトリシタビンを単回投与したところ,投与量の86%は尿中に,14%は糞中に回収された15)。腎クリアランスが推定クレアチニンクリアランスを上回ったことから,糸球体ろ過と尿細管への能動輸送の両方による排泄が示唆された1)。
テノホビル アラフェナミド:健康被験者に14C-テノホビル アラフェナミドフマル酸塩を単回投与したところ,投与量の47.2%が糞中に,36.2%が尿中に排泄された。その主成分はテノホビルであり,糞中の99%,尿中の86%を占めた。 また,投与量の1.4%がテノホビルアラフェナミドとして尿中に排泄された17)。テノホビルは腎臓での糸球体ろ過と尿細管への能動輸送の両方により排泄された。
6.小児HIV-1感染症患者
12歳以上18歳未満で体重35kg以上の小児HIV-1感染症患者を対象としたゲンボイヤ配合錠の非盲検試験において,本剤含有成分の薬物動態を検討した。ゲンボイヤ配合錠投与時の小児患者におけるエムトリシタビン,テノホビルアラフェナミド及びテノホビルの薬物動態パラメータを表3に示す18)。
| エムトリシタビン | テノホビル アラフェナミド | テノホビル | |
|---|---|---|---|
| tmax(hr) | 2.0 (0.5-5.0) |
1.5 (0.3-5.0) |
3.0 (0.3-5.0) |
| Cmax( μg/mL) | 2.3±0.5 | 0.17±0.11 | 0.02±0.00 |
| t1/2(hr) | 5.4±0.9 | 0.6±0.3 | 72.2±117.5 |
| AUCtau (μg・hr/mL) |
14.4±3.5 | 0.20±0.10 | 0.29±0.05 |
24例(テノホビル アラフェナミド,テノホビルのt1/2及びAUCtauは23例)
7.腎機能障害を有するHIV-1感染症患者
エムトリシタビン:クレアチニンクリアランスが30mL/min未満の重度の腎機能障害を有する被験者における,エムトリシタビン200mg単回投与時のエムトリシタビンのCmax及びAUCは,クレアチニンクリアランスが80mL/min超の被験者に対し,それぞれ約30%及び約200%上昇した19)。
テノホビルアラフェナミド:クレアチニンクリアランスが15mL/min以上30mL/min未満の重度の腎機能障害を有する被験者(非透析患者)における,テノホビルアラフェナミド25mg単回投与時のテノホビル アラフェナミドのCmax及びAUCは, クレアチニンクリアランスが90mL/min超の被験者に対し,それぞれ 79%及び92%上昇し,テノホビルのCmax及びAUCは,それぞれ179%及び474%上昇した20)。
8.肝機能障害を有するHIV-1感染症患者
エムトリシタビン:肝機能障害を有する被験者における薬物動態は検討していない。
テノホビルアラフェナミド:軽度の肝機能障害(Child-Pugh分類クラスA)を有する被験者における,テノホビル アラフェナミド25mg単回投与時のテノホビル アラフェナミドのCmax及びAUCは,肝機能正常被験者に対し,それぞれ11%及び8%低下し,テノホビルのCmax及びAUCは,それぞれ3%及び11%低下した。 また,中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類クラスB)を有する被験者における,テノホビルアラフェナミド25mg単回投与時のテノホビル アラフェナミドのCmax及びAUCは,肝機能正常被験者に対し,それぞれ19%及び13%上昇し,テノホビルのCmax及びAUCは,それぞれ12%及び3%低下した21)。 いずれの成分においても,重度の肝機能障害(Child-Pugh分類クラスC)を有する被験者における薬物動態は検討していない。
9.薬物相互作用
- (1)非臨床における薬物相互作用試験
-
エムトリシタビン:OAT3の基質である22)。
テノホビル アラフェナミド:P-gp,BCRP,OATP1B1及びOATP1B3の基質である6)23)。 また,テノホビルは,OAT1,OAT3及びMRP4の基質であり,OAT1に対する弱い阻害作用(IC50値:29.3μM)を示した24)25)。
- (2)臨床における薬物相互作用試験
- 健康成人に対し,本剤又は本剤の有効成分を含有する製剤と併用薬を投与した時の,本剤の有効成分又は併用薬の薬物動態への影響を表4~6に示す。
| 併用薬 | 併用薬の用量・投与方法 | テノホビル アラフェナミドの用量 | 例数 | 他剤併用時/非併用時のテノホビル アラフェナミドの薬物動態パラメータ比 (90%信頼区間) |
||
|---|---|---|---|---|---|---|
| Cmax | AUC | Cmin | ||||
| カルバマゼピン26) | 300mg 1日2回 |
25mg 単回 |
26 | 0.43 (0.36, 0.51) |
0.45 (0.40, 0.51) |
NC |
| アタザナビル27) | 300mg +リトナビル100mg 1日1回 |
10mg 単回 |
10 | 1.77 (1.28, 2.44) |
1.91 (1.55, 2.35) |
NC |
| コビシスタット28) | 150mg 1日1回 |
8mg 1日1回 |
12 | 2.83 (2.20, 3.65) |
2.65 (2.29, 3.07) |
NC |
| ダルナビル27)28) | 800mg +コビシスタット150mg 1日1回 |
25mg 1日1回注3) |
11 | 0.93 (0.72, 1.21) |
0.98 (0.80, 1.19) |
NC |
| 800mg +リトナビル100mg 1日1回 |
10mg 単回 |
10 | 1.42 (0.96, 2.09) |
1.06 (0.84, 1.35) |
NC | |
| ドルテグラビル27) | 50mg 1日1回 |
10mg 単回 |
10 | 1.24 (0.88, 1.74) |
1.19 (0.96, 1.48) |
NC |
| エファビレンツ28) | 600mg 1日1回 |
40mg 1日1回 |
11 | 0.78 (0.58,1.05) |
0.86 (0.72, 1.02) |
NC |
| ロピナビル/ リトナビル27) |
800mg +リトナビル200mg 1日1回 |
10mg 単回 |
10 | 2.19 (1.72, 2.79) |
1.47 (1.17, 1.85) |
NC |
| リルピビリン29) | 25mg 1日1回 |
25mg 1日1回 |
32 | 1.01 (0.84, 1.22) |
1.01 (0.94, 1.10) |
NC |
| セルトラリン30) | 50mg 単回 |
10mg 1日1回注4) |
19 | 1.00 (0.86,1.16) |
0.96 (0.89,1.03) |
NC |
| ソホスブビル/ Velpatasvir(国内未承認)31) |
400/100mg 1日1回 |
10mg 1日1回注4) |
24 | 0.80 (0.68, 0.94) |
0.87 (0.81, 0.94) |
NC |
注3)本剤を用いた薬物動態試験
注4)ゲンボイヤ配合錠を用いた薬物動態試験
| 併用薬 | 併用薬の用量・投与方法 | エムトリシタビンの用量 | 例数 | 他剤併用時/非併用時のエムトリシタビンの薬物動態パラメータ比 (90%信頼区間) |
||
|---|---|---|---|---|---|---|
| Cmax | AUC | Cmin | ||||
| ダルナビル28) | 800mg +コビシスタット150mg 1日1回 |
200mg 1日1回注5) |
11 | 1.13 (1.02, 1.24) |
1.24 (1.17, 1.31) |
1.31 (1.24, 1.38) |
| エファビレンツ28) | 600mg 1日1回 |
200mg ¥1日1回 |
11 | 0.90 (0.81, 0.99) |
0.92 (0.87, 0.96) |
0.92 (0.86, 0.98) |
| セルトラリン30) | 50mg 単回 |
200mg 1日1回注6) |
19 | 0.90 (0.82, 0.98) |
0.84 (0.81, 0.88) |
0.94 (0.90, 0.99) |
| ソホスブビル/ Velpatasvir(国内未承認)31) |
400/100mg 1日1回 |
200mg 1日1回注6) |
24 | 1.02 (0.97, 1.06) |
1.01 (0.98, 1.04) |
1.02 (0.97, 1.07) |
| タクロリムス32) | 0.05mg/kg 1日2回 |
200mg 1日1回注7) |
21 | 0.89 (0.83, 0.95) |
0.95 (0.91, 0.99) |
1.03 (0.96, 1.10) |
| ファムシクロビル33) | 500mg 単回 |
200mg 単回 |
12 | 0.90 (0.80, 1.01) |
0.93 (0.87, 0.99) |
NC |
注5)本剤を用いた薬物動態試験
注6)ゲンボイヤ配合錠を用いた薬物動態試験
注7)エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を用いた薬物動態試験
| 併用薬 | 併用薬の用量・投与方法 | テノホビル アラフェナミドの用量 | 例数 | 他剤併用時/非併用時のテノホビル アラフェナミドの薬物動態パラメータ比 (90%信頼区間) |
||
|---|---|---|---|---|---|---|
| Cmax | AUC | Cmin | ||||
| カルバマゼピン26) | 300mg 1日2回 |
25mg 単回 |
26 | 0.70 (0.65, 0.74) |
0.77 (0.74, 0.81) |
NC |
| アタザナビル27) | 300mg +リトナビル100mg 1日1回 |
10mg 単回 |
10 | 0.98 (0.89, 1.07) |
0.99 (0.96, 1.01) |
1.00 (0.96, 1.04) |
| コビシスタット28) | 150mg 1日1回 |
25mg 1日1回注8) |
14 | 1.06 (1.00, 1.12) |
1.09 (1.03, 1.15) |
1.11 (0.98, 1.25) |
| ダルナビル27)28) | 800mg +コビシスタット150mg 1日1回 |
25mg 1日1回注8) |
14 | 1.02 (0.96, 1.09) |
0.99 (0.92, 1.07) |
0.97 (0.82, 1.15) |
| 800mg +リトナビル100mg 1日1回 |
10mg 単回 |
10 | 0.99 (0.91, 1.08) |
1.01 (0.96, 1.06) |
1.13 (0.95, 1.34) |
|
| ドルテグラビル27) | 50mg 1日1回 |
10mg 単回 |
10 | 0.87 (0.79, 0.96) |
0.98 (0.93, 1.03) |
0.95 (0.88, 1.03) |
| ロピナビル/ リトナビル27) |
800mg +リトナビル200mg 1日1回 |
10mg 単回 |
10 | 1.00 (0.95, 1.06) |
1.00 (0.92, 1.09) |
0.98 (0.85, 1.12) |
| ミダゾラム34) | 2.5mg 単回経口 |
25mg 1日1回 |
18 | 1.02 (0.92, 1.13) |
1.12 (1.03, 1.22) |
NC |
| 1mg 単回静脈内 |
25mg 1日1回 |
18 | 0.99 (0.89, 1.11) |
1.08 (1.04, 1.14) |
NC | |
| リルピビリン29) | 25mg 1日1回 |
25mg 1日1回 |
32 | 0.93 (0.87, 0.99) |
1.01 (0.96, 1.06) |
1.13 (1.04, 1.23) |
| セルトラリン30) | 50mg 単回 |
10mg 1日1回注9) | 20 | 1.14 (0.94, 1.38) |
1.09 (0.90,1.32) |
NC |
| Velpatasvir (国内未承認)31) |
100mg 1日1回 |
10mg 1日1回注9) |
24 | 1.30 (1.17, 1.45) |
1.50 (1.35, 1.66) |
1.60 (1.44, 1.78) |
| ソホスブビル31) | 400mg 1日1回 |
1.23 (1.07, 1.42) |
1.37 (1.24, 1.52) |
NC | ||
| ソホスブビル 主要代謝物31) |
1.29 (1.25, 1.33) |
1.48 (1.43, 1.53) |
1.58 (1.52, 1.65) |
|||
注8)本剤を用いた薬物動態試験
注9)ゲンボイヤ配合錠を用いた薬物動態試験
【臨床成績】
<海外臨床試験における成績>
1.抗HIV薬による治療経験がないHIV-1感染症患者を対象としたゲンボイヤ配合錠の臨床試験
292-0104試験及び292-0111試験35):スタリビルド配合錠(エルビテグラビルとして150mg,コビシスタットとして150mg,エムトリシタビンとして200mg及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩として300mgを含有する抗HIV薬)を対照とした無作為化二重盲検並行比較試験2試験の結果を表7に示す(投与後48週時及び96週時)。 なお,国内において292-0104試験に組み入れられた被験者10例(ゲンボイヤ配合錠投与群4例,スタリビルド配合錠投与群6例)における投与後48週時のHIV-1 RNA量が50copies/mL未満の被験者の割合は,ゲンボイヤ配合錠投与群及びスタリビルド配合錠投与群ともに100%であった。
| 292-0104試験 | 292-0111試験 | |||
|---|---|---|---|---|
| ゲンボイヤ 配合錠投与群 (435例) |
スタリビルド 配合錠投与群 (432例) |
ゲンボイヤ 配合錠投与群 (431例) |
スタリビルド 配合錠投与群 (435例) |
|
| 48週時 | ||||
| ウイルス学的効果 HIV-1 RNA量 50copies/mL未満 |
405 (93.1%) |
401 (92.8%) |
396 (91.9%) |
386 (88.7%) |
| 群間差 (95.002%信頼区間) |
0.5% (-3.0%, 4.0%) |
3.1% (-0.9%, 7.1%) |
||
| ウイルス学的失敗例注10) | 13 (3.0%) |
11 (2.5%) |
18 (4.2%) |
23 (5.3%) |
| 96週時 | ||||
| ウイルス学的効果 HIV-1 RNA量 50copies/mL未満 |
388 (89.2%) |
381 (88.2%) |
362 (84.0%) |
358 (82.3%) |
| 群間差 (95%信頼区間) |
1.3% (-2.9%, 5.5%) |
1.7% (-3.3%, 6.8%) |
||
| ウイルス学的失敗例注10) | 16 (3.7%) |
11 (2.5%) |
23 (5.3%) |
24 (5.5%) |
注10)投与後48週又は96週時の血漿中HIV-1 RNA量が50copies/mL以上の症例,治療効果の欠如及び減弱により早期に中止した症例, 有害事象,死亡,治療効果の欠如又は減弱以外の理由で中止した症例のうち,中止時の血漿中HIV-1RNA量が50copies/mL以上であった症例
2.抗HIV薬による治療経験がないHIV-1感染症患者を対象としたダルナビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビル アラフェナミドフマル酸塩配合錠(ダルナビルとして800mg,コビシスタットとして150mg,エムトリシタビンとして200mg及びテノホビル アラフェナミドとして10mgを含有する抗HIV薬)の臨床試験
299-0102試験36):ダルナビル800mg,コビシスタット150mg及びエムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を対照とした無作為化二重盲検並行比較試験の結果を表8に示す(投与後48週時)。
| ダルナビル/コビシスタット/エムトリシタビン/ テノホビル アラフェナミドフマル酸塩配合錠投与群 (103例) |
ダルナビル,コビシスタット及びエムトリシタビン/ テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩投与群 (50例) |
|
|---|---|---|
| ウイルス学的効果 HIV-1 RNA量 50copies/mL未満 |
79 (76.7%) |
42 (84.0%) |
| 群間差 (95%信頼区間) |
-6.2% (-19.9%, 7.4%) |
|
| ウイルス学的失敗例注11) | 16 (15.5%) |
6 (12.0%) |
注11)投与後48週時の血漿中HIV-1 RNA量が50copies/mL以上の症例,治療効果の欠如及び減弱により早期に中止した症例,有害事象,死亡, 治療効果の欠如又は減弱以外の理由で中止した症例のうち,中止時の血漿中HIV-1 RNA量が50copies/mL以上であった症例
3.抗HIV薬による治療経験があり,ウイルス学的に抑制されているHIV-1感染症患者を対象とした臨床試験
311-1089試験37):エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含むレジメンから本剤を含むレジメンに切り替えた際の,本剤の有効性及び安全性を検討するために実施した, エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含むレジメン継続投与を対照とした無作為化非盲検並行比較試験の結果を表9に示す(投与後48週時)。
| 本剤を含むレジメンの投与群 (333例) |
エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む レジメンの継続投与群 (330例) |
|
|---|---|---|
| ウイルス学的効果 HIV-1 RNA量 50copies/mL未満 |
314 (94.3%) |
307 (93.0%) |
| 群間差 (95%信頼区間) |
1.3% (-2.5%, 5.1%) |
|
| ウイルス学的失敗例注12) | 1 (0.3%) |
5 (1.5%) |
注12)投与後48週時の血漿中HIV-1 RNA量が50copies/mL以上の症例,治療効果の欠如及び減弱により早期に中止した症例,有害事象,死亡, 治療効果の欠如又は減弱以外の理由で中止した症例のうち,中止時の血漿中HIV-1 RNA量が50copies/mL以上であった症例
4.抗HIV薬による治療経験があり,ウイルス学的に抑制されているHIV-1感染症患者を対象としたゲンボイヤ配合錠の臨床試験
292-0109試験38):エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含むレジメンからゲンボイヤ配合錠に切り替えた際の,ゲンボイヤ配合錠の有効性及び安全性を検討するために実施した, エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含むレジメン継続投与を対照とした無作為化非盲検並行比較試験の結果を表10に示す(投与後48週時及び96週時)。
| ゲンボイヤ配合錠投与群 (959例) |
エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む レジメンの継続投与群 (477例) |
|
|---|---|---|
| 48週時 | ||
| ウイルス学的効果 HIV-1 RNA量 50copies/mL未満 |
932 (97.2%) |
444 (93.1%) |
| 群間差 (95%信頼区間) |
4.1% (1.6%, 6.7%) |
|
| ウイルス学的失敗例注13) | 10 (1.0%) |
6 (1.3%) |
| 96週時 | ||
| ウイルス学的効果 HIV-1 RNA量 50copies/mL未満 |
890 (92.8%) |
425 (89.1%) |
| 群間差 (95%信頼区間) |
3.7% (0.4%, 7.0%) |
|
| ウイルス学的失敗例注13) | 23 (2.4%) |
8 (1.7%) |
注13)投与後48週又は96週時の血漿中HIV-1 RNA量が50copies/mL以上の症例,治療効果の欠如及び減弱により早期に中止した症例,有害事象,死亡, 治療効果の欠如又は減弱以外の理由で中止した症例のうち,中止時の血漿中HIV-1 RNA量が50copies/mL以上であった症例
【薬効薬理】
1.作用機序
エムトリシタビン:エムトリシタビンは,シチジンの合成ヌクレオシド誘導体であり,細胞内酵素によりリン酸化されエムトリシタビン5’-三リン酸となる39)。エムトリシタビン5’-三リン酸はHIV-1逆転写酵素の基質であるデオキシシチジン5’-三リン酸と競合すること及び新生ウイルスDNAに取り込まれた後にDNA鎖伸長を停止させることにより, HIV-1逆転写酵素の活性を阻害する。エムトリシタビン5’-三リン酸のHIV-1逆転写酵素に対する阻害定数(Ki値)は0.17μMであるのに対し,ヒトのDNAポリメラーゼα,β,ε及びミトコンドリアDNAポリメラーゼγに対するKi値は,それぞれ6.0μM,17.0μM,150μM及び6.0μMとなり,これらに対するエムトリシタビン5’-三リン酸の阻害作用は弱い40)。
テノホビル アラフェナミド:テノホビル アラフェナミドは,テノホビルのホスホンアミド酸プロドラッグ(2’-デオキシアデノシン一リン酸誘導体)である。テノホビル アラフェナミドは,血漿中の安定性が高く,細胞内透過性を有し,末梢血単核球及びマクロファージ中のカテプシンAにより加水分解を受けて細胞内にテノホビルを送達する。 その後,細胞内酵素によりリン酸化を受け,テノホビル二リン酸となる41)。テノホビル二リン酸は,HIV-1逆転写酵素の基質であるデオキシアデノシン5’-三リン酸と競合すること及びDNAに取り込まれた後にDNA鎖伸長を停止させることにより,HIV-1逆転写酵素の活性を阻害する。テノホビル二リン酸のHIV-1逆転写酵素に対するKi値は0.21μMであるのに対し, ヒトのDNAポリメラーゼα,β及びミトコンドリアDNAポリメラーゼγに対するKi値は,それぞれ5.2μM,81.7μM及び59.5μMとなり,これらに対するテノホビル二リン酸の阻害作用は弱い42)43)44)。
2.抗ウイルス作用(in vitro)
エムトリシタビン及びテノホビル アラフェナミドを細胞培養系で評価した結果,相乗的な抗ウイルス活性が認められた。
エムトリシタビン:ヒトTリンパ芽球様細胞株,MAGI-CCR5細胞株及び末梢血単核球初代培養細胞を用いて,HIV-1の実験室株及び臨床分離株に対するエムトリシタビンの抗ウイルス活性を評価した。エムトリシタビンのEC50値は,0.0013~0.64μMの範囲であった45)46)。
テノホビル アラフェナミド:ヒトTリンパ芽球様細胞株,単球/マクロファージ及び末梢血リンパ球初代培養細胞を用いて,HIV-1の実験室株及び臨床分離株に対するテノホビル アラフェナミドの抗ウイルス活性を評価した。テノホビル アラフェナミドのEC50値は,0.1~15.7nMの範囲であった47)。
3.薬剤耐性
-
in vitro試験
エムトリシタビン:エムトリシタビンに対する感受性低下は,HIV-1逆転写酵素のM184V/I変異と関連が認められた48)。
テノホビル アラフェナミド:テノホビル アラフェナミドに対する感受性が低下したHIV-1分離株では,K65R変異が発現しており,K70E変異も一過性に認められた49)。
-
臨床試験
抗HIV薬による治療経験がないHIV-1感染症患者:ゲンボイヤ配合錠の臨床試験(292-0104試験及び292-0111試験)において,ウイルス学的失敗と判定された被験者のうち,投与後96週時又は早期に試験中止となった時点の血漿中HIV-1 RNA量が400copies/mLを超えた被験者から分離したHIV-1を解析し, 19例(2.2%,19/866例)の遺伝子型及び表現型解析結果が得られた。遺伝子型解析結果から,エムトリシタビン又はテノホビルの主要耐性関連変異が1つ以上認められたのは,10例(1.2%,10/866例)であった。認められた変異は,逆転写酵素領域のM184V/I(9例),K65R/N(2例)及びK70R(1例),インテグラーゼ領域のT66A/I/V(2例), E92Q(4例),Q148R(1例)及びN155H/S(2例)であった。また,表現型解析結果から,エムトリシタビンに対する感受性が野生株に対して28倍から117倍超低下したHIV-1分離株が8例(0.9%,8/866例)に,テノホビルに対する感受性が野生株に対して3倍低下したHIV-1分離株が1例(0.1%,1/866例)に認められた。
ダルナビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビル アラフェナミドフマル酸塩配合錠の臨床試験(299-0102試験)において,ウイルス学的失敗と判定された被験者のうち,投与後48週時又は早期に試験中止となった時点の血漿中HIV-1RNA量が400copies/mLを超えた被験者から分離したHIV-1株を解析し,6例(5.8%,6/103例)の遺伝子型及び表現型解析結果が得られた。 遺伝子型解析結果から,エムトリシタビン又はテノホビルの主要耐性関連変異が1つ以上認められたのは,1例(1.0%,1/103例)であった。認められた変異は,逆転写酵素領域のK65K/R及びM184M/Iであった。また,表現型解析結果から,エムトリシタビン及びテノホビルに対する感受性に大きな変化はなく,エムトリシタビンに対する感受性の低下は野生株に対し2.5倍,テノホビルに対する感受性の低下は野生株に対し0.73倍であった。抗HIV薬による治療経験があり,ウイルス学的に抑制されているHIV-1感染症患者:ゲンボイヤ配合錠の臨床試験(292-0109試験)において,投与後96週時で遺伝子型及び表現型解析の対象となった被験者のうち,3例(0.3%,3/959例)にエムトリシタビン又はエルビテグラビルの耐性変異が認められた。遺伝子型解析結果で認められた変異は, 逆転写酵素領域のM184V/I(3例)及びインテグラーゼ領域のE92Q/G(2例)であった。また,表現型解析結果から,エムトリシタビンに対する感受性が野生株に対して3.8倍から117倍超低下したHIV-1分離株が3例(0.3%,3/959例)に,エルビテグラビルに対する感受性が野生株に対して10倍低下したHIV-1分離株が1例(0.1%,1/959例)に認められた。なお,テノホビルに対する感受性の低下は認められなかった。
4.交差耐性
エムトリシタビン:核酸系逆転写酵素阻害薬の間で交差耐性が認められた。エムトリシタビン耐性のM184V/I変異を有するHIV-1株は,ラミブジンに対して交差耐性を示した。また,アバカビル,ジダノシン及びテノホビルの投与によりin vivoで出現したK65R変異を有するHIV-1株では,エムトリシタビンに対する感受性の低下が確認された49)50)。
テノホビル アラフェナミド:K65R及びK70E変異を持つHIV-1株は,アバカビル,ジダノシン,ラミブジン,エムトリシタビン及びテノホビルに対する感受性の低下を示すが,ジドブジンに対する感受性を維持する。T69S二重挿入変異又はK65Rを含むQ151M複合変異を持ち,核酸系逆転写酵素阻害薬に多剤耐性を示すHIV-1は,テノホビルに対する感受性の低下を示した51)52)53)。
【有効成分に関する理化学的知見】
一般名:エムトリシタビン Emtricitabine
化学名:4-Amino-5-fluoro-1-[(2R,5S)-2-(hydroxymethyl)-1,3-oxathiolan-5-yl]pyrimidin-2(1H)-one
分子式:C8H10FN3O3S
分子量:247.25
化学構造式:
性状:白色~帯黄白色の粉末であり,水,メタノールに溶けやすく,アセトニトリルに溶けにくく,酢酸イソプロピルに極めて溶けにくい。
融点:約155°C
分配係数:-0.43(オクタノール/水)
一般名:テノホビル アラフェナミドフマル酸塩 Tenofovir Alafenamide Fumarate
化学名:1-Methylethyl N-[(S)-{[(1R)-2-(6-amino-9H-purin-9-yl)-1-methylethoxy]methyl}phenoxyphosphinoyl]-Lalaninatehemifumarate
分子式:(C21H29N6O5P)2 · C4H4O4
分子量:1069.00
化学構造式:
性状:白色~灰白色又は白色~くすんだ黄赤色の粉末であり,メタノールに溶けやすく,エタノール(99.5)にやや溶けやすく,水又は2-プロパノールにやや溶けにくく,アセトン又はアセトニトリルに溶けにくく,トルエンに極めて溶けにくい。
融点:約132°C
分配係数:1.6(1-オクタノール/pH7のリン酸塩緩衝液)
【承認条件】
- 医薬品リスク管理計画を策定の上,適切に実施すること。
- 本剤の使用に当たっては,患者に対して本剤に関して更なる有効性・安全性のデータを引き続き収集中であること等を十分に説明し,インフォームドコンセントを得るよう,医師に要請すること。
- 海外において現在実施中又は計画中の臨床試験については,終了後速やかに試験成績及び解析結果を提出すること。
- 日本人を対象とした薬物動態試験を実施し,その進捗状況を定期的に報告するとともに,終了後速やかに試験成績及び解析結果を提出すること。
- 再審査期間が終了するまでの間,原則として国内の全投与症例を対象とした製造販売後調査を実施し,本剤の使用実態に関する情報(患者背景,有効性・安全性(他剤併用時の有効性・安全性を含む)及び薬物相互作用のデータ等)を収集して定期的に報告するとともに,調査の結果を再審査申請時に提出すること。
【包装】
デシコビ®配合錠LT:30錠/瓶
デシコビ®配合錠HT:30錠/瓶
【主要文献】
- エムトリシタビンの薬物動態に関する検討(社内資料 FTC-101)
- テノホビルの薬物動態に関する検討(社内資料 901/701)
- Birkus G. et al.:Antimicrob. Agents Chemother. 51(2):543-550,2007
- Birkus G. et al.:Mol Pharmacol. 74(1):92-100, 2008
- テノホビル アラフェナミドの薬物動態に関する検討(社内資料120-2004)
- テノホビル アラフェナミドの薬物動態に関する検討(社内資料120-2018)
- テノホビルの薬物動態に関する検討(社内資料 1278-005)
- Benaboud S. et al.:Antimicrob. Agents Chemother. 55(3):1315-1317, 2011
- デシコビ配合錠LTを用いた臨床薬理試験(社内資料 311-1472)
- デシコビ配合錠HTを用いた臨床薬理試験(社内資料 311-1473)
- 食事の影響に関する検討(社内資料 311-1386)
- テノホビル アラフェナミドの薬物動態に関する検討(社内資料120-0108/0114)
- テノホビルの薬物動態に関する検討(社内資料 P504-00039.1)
- エムトリシタビンの薬物動態に関する検討(社内資料 15396)
- エムトリシタビンの薬物動態に関する検討(社内資料 FTC-106)
- テノホビル アラフェナミドの代謝酵素に関する検討(社内資料120-2031)
- テノホビル アラフェナミドのマスバランスに関する検討(社内資料120-0109)
- 小児HIV-1感染症患者を対象とした臨床試験(社内資料 292-0106)
- エムトリシタビンの薬物動態に関する検討(社内資料 FTC-107)
- テノホビル アラフェナミドの腎機能障害患者における薬物動態の検討(社内資料 120-0108)
- テノホビル アラフェナミドの肝機能障害患者における薬物動態の検討(社内資料 120-0114)
- エムトリシタビンの薬物動態に関する検討(社内資料 236-2010)
- テノホビル アラフェナミドの薬物動態に関する検討(社内資料120-2022)
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- カルバマゼピンとの相互作用に関する検討(社内資料 311-1387)
- アタザナビル,ダルナビル,ドルテグラビル及びロピナビル/リトナビルとの相互作用に関する検討(社内資料 120-0118)
- コビシスタット,ダルナビル及びエファビレンツとの相互作用の検討(社内資料 311-0101)
- リルピビリンとの相互作用に関する検討(社内資料 120-1554)
- セルトラリンとの相互作用に関する検討(社内資料 292-1316)
- ソホスブビル/Velpatasvirとの相互作用に関する検討(社内資料342-1167)
- タクロリムスとの相互作用に関する検討(社内資料 174-0105)
- ファムシクロビルとの相互作用に関する検討(社内資料 FTC-108)
- ミダゾラムとの相互作用に関する検討(社内資料 120-1538)
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- テノホビル アラフェナミドの薬剤耐性に関する検討(社内資料120-2014)
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