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HOME > HIV診療における外来チーム医療マニュアル > 第2章 チームで支援するHIV外来診療

(3)2回目の流れ

①トリアージ

  1. 初診から2回目受診までの心身の状況把握に努め、患者がリラックスして診察に臨めるように配慮する。
  2. 疾患の受け止め方や誤っている情報は無いかを再確認し、2回目受診までの精神状態と患者周囲のサポート支援状況を把握する。
  3. 今後の自己管理能力の育成と定期受診に繋げるように支援する。

②診察

初診から2回目受診までの心身の変化や状況を把握する。初診時に行った検査データについて分かりやすく説明し、質問しやすい雰囲気を心がける。治療開始にあたっては、検査データと患者自身の準備が重要となるため、データが治療開始基準を満たしているからといって慌てて治療を開始しない。この場合、患者に「治療が早急に必要であるが、開始に向けた準備も重要である」ことの説明を行い、理解を求める。この期間に起こりうる日和見感染症の発症予防及び検診を行う。

ⅰ 抗HIV療法開始時期の目安

現在、抗HIV療法によって根治は望めないが、ウィルス量の増加を抑制し、CD4陽性リンパ球数を増加させ、病気の進行を遅らせることが期待できる。治療の開始基準は、表2-4にも示した通り、患者の病状やCD4陽性リンパ球数によって判断される。AIDSを発症している場合やCD4陽性リンパ球数が350/μL未満では、直ちに治療の開始が推奨される。ただし、治療開始が推奨されるCD4陽性リンパ球数の値は、治療のガイドラインが随時更新されることから、最新のガイドラインを参照する。また、抗HIV療法は性的パートナーへのHIV感染を予防することが示されたことから、パートナーへのHIV感染のリスクを有する患者に対しても治療の開始が勧められる。

医師や看護師は、治療開始にあたって患者が対応しなければならない様々な問題に留意し、適切な職種との連携をコーディネートすることが必要である。

なお、身体障害者手帳の申請には、28日以上あけた連続した2回の測定値(CD4、HIV-RNA、検血)が必要である。

米国や日本のガイドラインは、下記のホームページで見ることができる。

直ちに抗HIV療法の開始が推奨される場合

AIDS発症の既往やCD4陽性リンパ球数が350/μL未満の他、表2-4に示した場合には、服薬に向けた準備を始める。服薬相談は、治療を開始する前から実施し、抗HIV療法について十分に説明する。担当の薬剤師がいる場合は、薬剤師に服薬指導を依頼する。入院で行う場合は、入院担当医、病棟看護師などに申し送る。

免疫再構築症候群の対策として、治療開始前に各種検査を実施し、日和見感染症がある場合はその治療を優先する。また、必要な日和見感染症の予防を行う。

AIDSを発症している場合、抗HIV療法を開始するタイミングは、各疾患によって異なるが、しかるべき時期に遅れることなく抗HIV療法を開始する。

CD4陽性リンパ球数が200/μL未満であるような高度な免疫不全の場合は、複数の疾患を合併していることも多い。薬剤の選択にあたっては、併用薬との薬剤相互作用や副作用など、薬剤師と連携をとり服薬相談を実施する。

抗HIV薬は高額であり、一生服薬を継続しなければならないことから、健康保険の利用だけでは患者の経済的負担が大きい。負担を軽減できるよう、利用可能な社会資源について案内する。ソーシャルワーカーがいる場合は、これらの制度についての説明や手続きなどを依頼する。

診断後まもなく治療を開始される場合は、時間が限られているため、各職種は患者が理解しやすいよう、より丁寧な説明と対応に心がける。

表2-4
抗HIV療法の開始が必要な患者
AIDS発症の既往
CD4陽性リンパ球数<350/μL
最新のガイドラインが治療の開始を推奨するCD4陽性リンパ球数に達した場合
HIV陽性妊婦
HIV関連腎症
HIV関連ニューロパチー
HBVを合併し、抗HBV治療が必要な場合*
性的パートナーへのHIV感染のリスクを有する患者
*HIVとHBV両方に抗ウィルス効果のある薬剤を使用する
抗HIV療法の開始が強く推奨される場合

CD4陽性リンパ球数350~500/μLでは、抗HIV療法の開始が強く推奨される。

受診の間隔は1ヶ月~2ヶ月毎を目安とし、ウィルス量の推移も注意し、治療の開始時期を判断する。抗HIV療法の開始に向けて服薬相談を実施し、服薬遵守の重要性を教育する。また、経済的な負担を軽減できるよう、利用可能な社会資源について案内する。ソーシャルワーカーがいる場合は、これらの制度についての説明や手続きなどを依頼しても良い。

抗HIV療法の開始が推奨される場合

CD4陽性リンパ球数>500/μLでは、抗HIV療法の開始が推奨される。

受診頻度は2ヶ月~3ヶ月毎が目安であるが、全身状態が非常に落ち着いていれば4ヶ月~6ヶ月毎でも良い。受診間隔が長くなることにより、現在の状態把握が困難になるため、受診の数日前に検査を受けておくか、受診後に血液検査の結果を問い合わせるよう勧めるなど工夫が必要となる。抗HIV療法が開始できる場合は、服薬相談や医療相談を案内するなど、治療に向けて準備をすすめる。また、HIV感染症の病状に影響を与えるような性感染症やウィルス肝炎などに罹患しないように、健康管理には一層注意する。

さらに注意することは受診中断である。患者は「投薬」や「治療」が積極的に行われている場合には定期受診のモチベーションを維持しやすいが、検査データが良好な時期は、「抗HIV療法を開始していない状態」で「経過観察」という対応となり、受診に対するモチベーションの維持が難しく、受診中断の経過を辿る場合がある。患者に受診中断に至りやすい状況であることを説明し、その回避方法を提案する。医師や看護師は、受診中断に陥らないように、患者が抱える様々な問題に留意し、積極的にカウンセラーやソーシャルワーカーなどとも連携をはかる。また、要望がある場合、患者のプライバシーに配慮し、ピアカウンセリングや患者会などに関する情報を提供する(17ページ、コラム「院外の陽性者支援の紹介」参照)。服薬中断時の対応に関しては63ページ参照。

表2-5 再診時診察の流れの例
  患者の動き 各スタッフ間の連絡
9:50 外来受付窓口に到着。  
10:00 外来担当看護師と面接。受診案内を受ける。  
10:10 診察室に入り、初診時に実施した検査結果が説明され、抗HIV薬の服薬の必要性について説明を受ける。治療薬の説明を薬剤師が、身体障害者手帳についてソーシャルワーカーが、治療開始に伴う不安に対するサポートをカウンセラーが行うことを説明。看護師の指示に従って順次面談することについて説明が行われ、患者は同意した。 看護師からソーシャルワーカーに連絡。面談時間の調整。
10:40 看護師から医師の説明を理解できているか否かについて確認が行われ、治療開始に伴う追加説明と、面談手順等についてオリエンテーションが行われた。  
11:00 ソーシャルワーカーから身体障害者認定取得のための必要書類等について説明された。面談終了時、昼食後は外来診察窓口に戻るよう指示される。 説明終了後、ソーシャルワーカーから看護師に連絡。必要書類について打ち合わせ。
12:00 昼食  
12:45 外来診察窓口に到着。外来の薬相談室への案内図を手渡す。 看護師から薬剤師に連絡。面談時間の調整。
13:00 薬相談室にて薬剤師から、薬物療法全般についての概略、服薬の意義や薬の作用、副作用・服用方法を中心に説明され、現在のライフスタイルと服薬について確認が行われた。
面談終了時、再度、外来診察室の前で待つよう指示される。
説明終了後、薬剤師から看護師に連絡。
14:20 外来診察室にて医師から再度今後の治療方針について説明があり、次回の予約が行われた。 看護師からカウンセラーに連絡。面談時間の調整。
14:50 看護師から会計の手順とカウンセリングについて説明された。  
15:00 カウンセラーから心理的支援の提供が行われた。  
16:00 会計をすませ、病院を出る。  

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