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資料5)身体障害者手帳
身体障害者(児)手帳とは、身体障害者福祉法に規定された障害基準に該当する人に、都道府県知事から交付される証書である。身体障害者(児)手帳を取得すると、さまざまな障害福祉サービスが利用可能になる。
- ■HIV感染者が身体障害者(児)手帳を取得するメリット
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障害福祉サービスの中には、医療費の自己負担を軽減する制度(83ページ、資料6、86ページ、資料7参照)が含まれており、長期にわたる治療を継続する一助となる。
また、その他にも、税の減免や交通費助成などの経済的なサービスや、療養介護等の生活支援サービスなどもあり、状況に応じて利用できる可能性もある。
- ■身体障害の種類と程度
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身体障害には、視覚障害、聴覚障害などの種類があるが、HIV感染症の場合は、「ヒト免疫不全ウィルスによる免疫の機能の障害(免疫機能障害)」となる。障害の程度に応じて、1級から4級までの等級が定められている。(81ページ、「身体障害認定基準」を参照)
- ■申請
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居住地の市区町村役場に必要書類(申請書、医師の診断書、写真等)を提出する。診断書は、必ず身体障害者福祉法第15条に規定される指定医師が作成しなければならない。
原則としては本人申請となっているが、代理人申請、郵送申請なども可能である。プライバシーについて不安を感じる人が多いため、本人と検討の上で方法を決めることが望ましい。
また、免疫機能障害の取り扱い経験が少ない自治体では、担当職員が不慣れであることが予想されるため、申請の前にソーシャルワーカー等から自治体での情報管理体制や対応方法などを相談しておくと、より円滑な手続きが可能である。
- ■留意事項
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自治体によって、申請から交付決定までに要する時間が異なる。特に、医療費助成制度の利用を希望する場合、手帳が交付されていることを条件とする自治体、同時申請でもかまわないとする自治体など運用が異なるため、事前に確認の上で申請のタイミングを決めることが必要である。
図4-4 身体障害者(児)手帳申請の流れ
身体障害認定基準(ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害)
1.13歳以上の者の場合
- 等級表1級に該当する障害は、ヒト免疫不全ウィルスに感染していて、次のいずれかに該当するものをいう。
- CD4陽性Tリンパ球数が200/μL以下で、次の項目(a~l)のうち6項目以上が認められるもの。
- 白血球数について3,000/μL未満の状態が4週以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続く。
- Hb量について男性12g/dl未満、女性11g/dl未満の状態が4週以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続く。
- 血小板数について10万/μL未満の状態が4週以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続く。
- ヒト免疫不全ウィルスRNA量について5,000コピー/ml以上の状態が4週以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続く。
- 一日1時間以上の安静臥床を必要とするほどの強い倦怠感及び易疲労が月に7日以上ある。
- 健常時に比し10%以上の体重減少がある。
- 月に7日以上の不定の発熱(38℃以上)が2ヶ月以上続く。
- 一日3回以上の泥状ないし水様下痢が月に7日以上ある。
- 一日2回以上の嘔吐あるいは30分以上の嘔気が月に7日以上ある。
- 口腔内カンジダ症(頻回に繰り返すもの)、赤痢アメーバ症、帯状疱疹、単純ヘルペスウィルス感染症(頻回に繰り返すもの)、糞線虫症及び伝染性軟属腫等の日和見感染症の既往がある。
- 生鮮食品の摂取禁止等の日常生活活動上の制限が必要である。
- 軽作業を越える作業の回避が必要である。
- 回復不能なエイズ合併症のため介助なくしては日常生活がほとんど不可能な状態のもの。
- CD4陽性Tリンパ球数が200/μL以下で、次の項目(a~l)のうち6項目以上が認められるもの。
- 等級表2級に該当する障害はヒト免疫不全ウィルスに感染していて、次のいずれかに該当するものをいう。
- CD4陽性Tリンパ球数が200/μL以下で、(1)の項目(a~l)のうち3項目以上が認められるもの。
- エイズ発症の既往があり、(1)の項目(a~l)のうち3項目以上が認められるもの。
- CD4陽性Tリンパ球数に関係なく、(1)の項目(a~l)のうち(a~d)までの1つを含むを含む6項目以上が認められるもの。
- 等級表3級に該当する障害はヒト免疫不全ウィルスに感染していて、次のいずれかに該当するものをいう。
- CD4陽性Tリンパ球数が500/μL以下で、(1)の項目(a~l)のうち3項目以上が認められるもの。
- CD4陽性Tリンパ球数に関係なく、(1)の項目(a~l)のうち(a~d)までの1つを含むを含む4項目以上が認められるもの。
- 等級表4級に該当する障害はヒト免疫不全ウィルスに感染していて、次のいずれかに該当するものをいう。
- CD4陽性Tリンパ球数が500/μL以下で、(1)の項目(a~l)のうち1項目以上が認められるもの。
- CD4陽性Tリンパ球数に関係なく、(1)の項目(a~l)のうち(a~d)までの1つを含むを含む2項目以上が認められるもの。
2.13歳未満の者の場合
- 等級表1級に該当する障害は、ヒト免疫不全ウィルスに感染していて、「サーベイランスのためのHIV感染症/AIDS診断基準」(厚生省エイズ動向委員会、1999)が採択した指標疾患のうち1項目以上が認められるもの。
- 等級表2級に該当する障害は、ヒト免疫不全ウィルスに感染していて、次のいずれかに該当するものをいう。
- 次の項目(a~r)のうち1項目以上が認められるもの。
- 30日以上続く好中球減少症(<1,000/μL)
- 330日以上続く貧血(<Hb8g/dl)
- 30日以上続く血小板減少症(<100,000/μL)
- 1ヶ月以上続く発熱
- 反復性または慢性の下痢
- 生後1ヶ月以前に発症したサイトメガロウィルス感染
- 生後1ヶ月以前に発症した単純ヘルペスウィルス気管支炎、肺炎または食道炎
- 生後1ヶ月以前に発症したトキソプラズマ症
- 6ヶ月以上の小児に2ヶ月以上続く口腔咽頭カンジダ症
- 反復性単純ヘルプスウィルス口内炎(1年以内に2回以上)
- 2回以上または2つの皮膚節以上の帯状疱疹
- 細菌性の髄膜炎、肺炎または敗血症(1回)
- ノカルジア症
- 播種性水痘
- 肝炎
- 心筋症
- 平滑筋肉腫
- HIV腎症
- 次の年齢区分ごとのCD4陽性Tリンパ球数及び全リンパ球数に対する割合に基づく免疫学的分類において「重度低下」に該当するもの。
表4-1 年齢区別ごとのCD4陽性Tリンパ球数及び全リンパ球数に対する割合に基づく免疫学的分類 免疫学的分類 児の年齢 1歳未満 1~6歳未満 6~13歳未満 正常 ≧1,500/μL
≧25%≧1,000/μL
≧25%≧500/μL
≧25%中等度低下 750~1,499/μL
15~24%500~999/μL
15~24%200~499/μL
15~24%重度低下 <750/μL
<15%<500/μL
<15%<200/μL
<15%
- 次の項目(a~r)のうち1項目以上が認められるもの。
- 等級表3級に該当する障害はヒト免疫不全ウィルスに感染していて、次のいずれかに該当するものをいう。
- 次の項目(a~h)のうち2項目以上が認められるもの。
- リンパ節腫脹(2か所以上で0.5cm以上。対象性は1か所とみなす)
- 肝腫大
- 脾腫大
- 皮膚炎
- 耳下腺炎
- 反復性または持続性の上気道感染
- 反復性または持続性の副鼻腔炎
- 反復性または持続性の中耳炎
- (2)の年齢区分ごとのCD4陽性Tリンパ球数及び全リンパ球数に対する割合に基づく免疫学的分類において「中等度低下」に該当するもの。
- 次の項目(a~h)のうち2項目以上が認められるもの。
- 等級表4級に該当する障害はヒト免疫不全ウイルスに感染していて、(3)の項目(a~h)のうち1項目以上が認められるもの。